事業再構築補助金 4つの類型を分かりやすく解説

⑤事業再編は特殊であるため除きます

 この記事では、事業再構築補助金の4つの類型にのみスポットを当て、解説していきます。

 「こんなことをやってみたい」という青写真を描けていても、そもそも事業再構築に該当するのかどうか迷う方も多いと思います。

 『中学生でも分かる』ように書いていきますので、もし該当するようであれば、そこから深堀りしていけばよいと思います。

 まず、入口に立てるかどうかの判断材料として考えて頂ければ幸いです。

1.新分野展開について

 まず新分野展開についてです。

 結論から言うと、「何でもよい」ということです。

公募要領より

 要約すると、「主たる業種を変えずに、新たなことをやる」ということです。

 非常に幅が広く、製品・市場の新規性要件売上高10%要件を満たせれば、何をしてもよいというイメージです。

 新規性要因とは、既存事業と違う製品・違う市場であれば問題ありません。

 売上高10%要件は、事業開始から3~5年以内に、総売上の10%を占めればよいということです。

具体例

  1. 製造業を営む会社が、飲食業にも進出(この〇〇業は、建設・不動産・サービスなどが入ります)
  2. 自動車部品を製造する会社が、医療用品の部品製造に進出

 主に考えられるケースが上の2パターンです。

 1は分かりやすいですね。これは、他には「飲食業を経営している会社が、セントラルキッチン(製造業)を始める」というケースや、「家の建築をしている建設業者が、建築ノウハウを生かして宿泊業を始める」というケース、など色々考えられます。

 全く違うことをやるので、「新規性要件」は満たせますので、あとは「売上10%要件」を満たせればOKです。

 当然、実現可能性の根拠は深く見られますが、「何でもあり」のパターンが1です。

 また、全てに共通しておりますが、「ただ単に貸す」「人任せ」はNGです。

 例えば、「アパートなどの収益物件を建築すること」、「ただのオーナーという立場」などの場合です。

 次に2を見ていきましょう。

 これは、「〇〇業を営む会社が、同じ〇〇業のことを始めるが、新規性要件を満たしている」というケースです。

 上の例以外にも、「学生向けの塾が、社会人向け資格スクールも始める」というケースや、「家電の小売店が、食器の小売も始める」というケースも当てはまります(おそらく)。

 扱う製品(商品)も違うし、ターゲットも違うし、これまでの製品(商品)と共食いにならない、ということを満たすのが新規性要件です。

 よほど同じようなことをやらなければ、まず共食いは発生しないので、あまり気にする必要はないと思います。

 基本的に、少し新しいことを始めようと思った場合は、大体この新分野展開に該当してきます。

2.事業転換について

 次は、事業転換です。

 他のものと比較しやすいよう、残りのものも並べて見てみましょう。

公募要領より

 「主たる業種を変更することなく、主たる事業を変更すること」と書いてあります。

 気を付けて見ないと、業種と事業の違いを見落とし、訳の分からない文章に見えてしまいます。

 業種とは、製造業・飲食業などを言います。

 事業とは、業種を更に細分化したものです。例えば、飲食業ならカレー屋とラーメン屋みたいなものです。

 そして要件は、新規性要件新たな事業が最も売上が多い事業となることです。

 新規性要件は、これまでと同じです。

 新分野展開と違うのは、新たな事業が、今後最も売上構成比が高い事業となることです。

業種・事業については下記リンク参照してください

総務省ホームページ

A~T(ローマ字)が大分類で、業種に該当

中分類以下の部分が、事業に該当

 これだけ聞くと、何となくよく分からないですが、ようするに「コロナでこれまでの事業の売上が全く期待できなくなったから、同じ〇〇業だけど、違うことを始めて、それを今後の主力事業にしていこう」というイメージです。

 「カレー屋をやっていたけど、全くだめになったので、ラーメン屋をやろう」というケース(あくまで例です)、「テレワークの拡大によりビジネス用品の売上が下がったので、お家時間を過ごすものの販売メインに切り替えていこう」というケースなどが考えられます。

 新分野展開で紹介した「自動車部品を製造する会社が、医療用品の製造に進出する」というケースで、もし自動車部品製造が今後売上がほとんど期待できず、医療用品が将来的にメインとなる場合は、事業転換になるということです。

 既存事業の位置付けで類型が変わるということです。

3.業種転換について

 次は業種転換についてです。

 もう分かりますね。

公募要領より

 主たる業種を変更するので、〇〇業から▲▲業へ、ということです。

 製造業から飲食業、建設業から宿泊業、飲食業からサービス業、などです。

 要件は、新規性要件と、新たな業種が最も売上が多い業種となることです。

 新規性要件は、これまでと同じです。

 新たな業種が最も売上が多い業種となること、これもそのままですね。

 つまり、事業転換よりも更に大胆に変わる場合は、業種転換になるというイメージです。

 例えば、「お酒の卸売業が、コロナにより壊滅的になったため、これまでの設備を生かし運送業になる」というケースや、「飲食店を経営していたが、コロナを機に、建物を改装して宿泊施設にする」というケースなどが考えられます。

 こちらも、新たな業種が今後のメインとなっていくという点が、新分野展開と異なる点です。

 基本的に、思い切り大胆に事業を変更するケースが該当しそうですね。

4.業態転換について

 最後に業態転換についてです。

 これまでの3つとは少し毛色が違います。

 今までと全く同じものを販売するケースでも、この類型を使える場合があるので、意外と盲点となる類型です。

公募要領より

 抽象的で分かりづらいですが、ようするに「どうやって販売するかを変更する」ということです。

 要件は、製品方法等の新規性要件商品等の新規性要件又は設備撤去等要件売上10%要件となっております。

 ここも、細かい要件ではなく、具体的イメージを持っておくとよいと思います。

 例えば簡単な例ですと、実店舗での販売を減らしオンラインでの販売に切り替える(アパレル・お菓子の製造販売など色々考えられます)というものです。

 他には、飲食店でテイクアウトを始めるというのも該当します。

 提供するモノ・サービスなどは変えず、提供方法を変えていくということです。

 製造業であれば、より付加価値を添えて製造できるようにするなどが該当します。

 かなり幅広い解釈ができる類型なので、色々考えてみると意外といけるかもしれません。

 ただし、「現状+付加価値」で、付加価値部分を明確にし、10%要件を満たすことが必要です。

 ようするに、オンライン販売が10%を占める・テイクアウトが10%を占める、など明確な線引きができることですね。

 製造業の場合、製造方法等の新規性要件というものがあります。

 これも、読めば読むほど混乱していく書き方になっています。

  これまでと違う方法で作る、ただの大量生産へのシフトではない、定量的に性能又は効能が異なること、など色々書いてます。

 同じものを作れる性能の良い機械を購入すれば、新たな付加価値を提供できる可能性が高いので、ほぼ該当するとも考えられます。

 現実的な話をすれば、機械のメーカーに聞くのが最も手っ取り早いと思います。

 個人的には、新しい機械を購入すれば、ほぼ該当すると思います。

5.最後に

 以上が、事業再構築の4つの類型になります。

 何か新しいことをしたいな、と思ったらほぼ間違いなく該当してきます。

 当然、緊急性や実現可能性などが見られない場合は、採択は難しくなります。

 一方で、「事業に対する熱い想い」というものが、個人的には重要な要素であると思います。

 よく、「補助金ありきではダメ」という言葉を聴きますし、基本的にはそうだと思いますが、半分は綺麗ごとだとも思います。

 「補助金があるから」という理由で新規事業を考えてみるという順番でも全然良いと思います。

 そこに熱い想いがあれば、結果は付いてくると思います。

 補助金ありきでスタートした考えでも、結果的に補助金が出なくても、「やる」という決断になるかもしれません。

 リスクヘッジのための新規事業自体が、大きなリスクとなる可能性があるなら当然やるべきではありません。

 このような結論に至った場合でも、考えたということが非常に重要です。

 このような時代だからこそ、事業に対し考える機会が必要であり、そのきっかけが「補助金欲しい」でもいいと思います。

 まずは、「類型」を眺めてみて、こんなことやってみたいなー、と考えてみることが非常に重要だと思います。

 そのように思い、今回は類型のみで記事を書いてみました。

 以上です。

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