サボタージュマニュアルについて

にゃず

『サボタージュマニュアル』って知ってる??

ぷんちゃん

営業職の人の、バレない上手なさぼり方とかかな?

にゃず

いいえ、違います。

スパイのためのマニュアルです。

ぷんちゃん

えっ!スパイ?

トム・クルーズ?

にゃず

そうです(適当)。

結構面白いので、今回はサボタージュマニュアルについて説明します。

1.サボタージュマニュアルとは

 サボタージュマニュアルとは、第二次世界大戦中のアメリカの諜報機関OSS(CIAの前身)が作成した、実在するマニュアルです。

 目的は、敵国に潜入し、相手国を弱体化させることです。

 まさにミッションインポッシブル、007の世界ですね。

 具体的には、企業等に潜入生産性を下げる方法を実践し、弱体化させるということです。

 組織を内部から崩壊させるということですね。

 これは、陰謀論などではなく、機密文書として保管していたものを実際に公表したものです(→実物はこちら

 この『サボタージュマニュアル』が2012年からWEB上で誰でも見れるようになり、その後日本国内でも有名になりました。

 有名になった理由が、あまりにも日本企業の特徴と重なっていたからです。

 日本は敗戦後アメリカの占領下にあったので、その際に知らず知らずのうちに「弱体化」のために実践されていたのでは、と考えてしまうほどです。

 では具体的に見ていきましょう。

実在する機密文書です

2.意思決定をとにかく遅らせる

 色々な日本語訳があるのですが、わかりやすくまとめます。

意思決定を遅らせる

  • 管理職は「全てを理解し、慎重な判断」という姿勢で、とにかく意思決定を遅らせる
  • 意思決定に必要な人数をとにかく増やす
  • 指揮命令系統にこだわり徹底する
  • 権限にこだわる

 すごく簡単ですが、このようなことが書いてあります。

 具体的に考えてみましょう。

 まず、簡単に判断できることであろうと、判断を遅らせます。

 どうでもいい書類を要求したりなどですね。

 表向きは慎重な判断かもしれないですが、単なる嫌がらせとも取れる行為ですね。

 そして、とにかく組織の構造にこだわり、権限を分散させ、意思決定までの道のりを厳しくします。

 「課長は知っているのか?」「部長まで4人の決裁が必要だ」などですね。

 これを飛び越えることも許さず、とにかく形にこだわり、人数を増やしていきます。

 大して判断が難しくないことでも、あえてこのような形を作ることで、米国のスパイたちは組織を内部から弱体化させていたようです。

3.ものごとが進まないようにする

 次は、ものごとが進まないようにするというものです。

 意思決定の手前ですね。

ものごとが進まないようにする

  • とにかく会議
  • 会議で決まっても再討議
  • 重要でないものでも完璧な仕上がりに
  • 文書は細かいところまでチェック
  • ペーパーワークを増やし、書類をどんどん増やす
  • 承認に至るプロセスを複雑化
  • とにかく規則重視

 こちらも簡単にまとめるとこのようになってます。

 どうでもいいことでもとにかく「会議」

 会議の参加人数が多ければ多いほど、多くの人間の時間を奪えますからね。

 そして、会議で結論は出さず、出ても再討議。

 これを繰り返すことがスパイの仕事でした。

 そして、どんどん書類を増やす。

 その書類に誤字は許されず、1文字1文字細かいチェックを重ね、徹底的に修正させる。

 書いてある内容は二の次で、必要な書類(重要ではない)に完璧な仕上がりを求める。

 そして、そのプロセスに複数人関与させることで、無意味な作業により膨大な時間を奪うことができます。

 最後に、規則重視です。

 こんな生産的でないことをやっていると、一部の人間は無意味さに気付き反発します。

 そしたら制裁です。

 大したことないことでも「不正」という罪を作り、罰を与えることで従業員を委縮させることができます。

 こうすることで、生産性を下げ、また上げようとする勢力を排除することができますね。

4.当たり前にする

 あとは、これらのことを「当たり前」だと思い込ませることで、内部からの崩壊が完成です。

 いわゆる「組織とはこうあるべきだ」という「べき論」を完成させるということです。

 以前、別の記事で「べき論」を疑い考える癖をつけましょう、という記事を書きました。

 こういう人が現実的に少ないのであれば、作戦は成功してます。

 日本は、それでも色々な偶然が重なり経済発展できたので、そのような成功体験も「このような組織体制でよい」と思わせる要因になっているのだと思います。

 どうでしょう?

 このサボタージュマニュアル、なかなか面白いですよね。

 身の回りの上司や同僚に、スパイっぽい人いませんか?

 もしくは、組織自体がスパイ生産工場になっていませんか?

5.良くなりたければ逆をやればいい

 以上、これらの方法は「組織を内部から崩壊させる方法」です。

 お分かりだと思いますが、日本企業はほとんど当てはまっております。

 その弊害が、近年大きく出ており、日本はほとんど成長できおりません。

 当然、これだけが要因ではないですが、生産性が低い要因としては大きな原因になっていると思います。

 では、どうするべきか?

 答えは簡単で、逆をやればいいのです。

 承認プロセスや意思決定プロセスをできる限り短縮することや、紙を無くしオンラインでリアルタイムで共有する、などですね。

 一方で、このような変化をしようにも、既にスパイに洗脳された人たちに変化への意思決定をしてもらわないといけません。

 ジレンマですね。

 変化の必要性は認識できているものの、それができない体制ができてしまっている。

 必要なのは「破壊的イノベーション」でしょうか。

 破壊的というと印象は悪いですが、決して悪いことではありません。

 とにもかくにも、簡単なことではないですね。。

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