本紹介①LIFE SHIFT ー100年時代の人生戦略ー 現状に不安を抱えているビジネスマンにおすすめする1冊
本紹介第1回目として「LIFE SHIFT 100年時代の人生戦略」(リンダ・グラットン著 2016年)を紹介します。
ここ数年人生100年時代という言葉を頻繁に聞くようになったと思いますが、そのきっかけを作った名著ですね。
発売から4年以上経っており、読んだ人も多いと思います。私の人生の価値観を変化させた1冊であり、35万部以上売れているベストセラー本ですが、全日本人が読みその価値観を認識すべきだと思える内容なので、改めて紹介します。
まず、私が考えるこの本の結論は「100年以上生きるという事実・価値観を受け入れ、これまで当たり前として考えられていた人生のステージに新たなステージを加え、100年時代を幸福に生きていく」ということです。
以下の5ステップで紹介していきます。
目次
1.100年時代とは?
「2007年生まれの日本人は50%が107歳まで生きる」という言葉から始まります。私は1982年生まれなのですが、それでも100歳までは生きるそうです。人生80年程度で考えていた私にとってはいきなり衝撃的な事実でした。
しかも、今後の更なる科学・医療の進歩により寿命は更に延び、どこまで延びる余地があるかは、はっきり分からないとのこと。不老不死研究に対して莫大な投資が現在進行形で行われていますし、更に延びそうですね。
どうでしょう?「そんなこと知ってるよ」という人も多いと思いますが、100歳以上まで生きる前提で人生設計をしている人は少ないと思います。
私は人生に漠然とした不安を抱えており、独立を考えていた時期にこの本を読み、前向きに独立を考えられ、かつ100歳以上までの人生設計を組むことを始めました。
価値観のパラダイムシフトですね。今は120歳まで生きるつもりで、健康についても学習をし実践しております。
健康については、別に記事を書いてますので、ぜひ読んでください。
「そんなヨボヨボ(失礼な言葉ですが)になるまで生きていたくないよ」という人もいると思います。
しかしそれも間違いであり、将来の100歳は今の100歳より全然若々しいとのこと。サザエさんの波平が54歳という設定(もっと年寄りに見える)からも、昭和中期の50代のイメージに対し今の日本人が若返っていることが分かりますよね。
将来の100歳は今の70代くらいのイメージでしょうか。
つまり、今の環境で普通に生きていたら100歳以上まで生きられるし、しかも肉体的にも活力がある。約1世紀で平均寿命は倍以上になっているという過去の事実もあり、受け入れざるを得ないことだと思います。
ただ、ここで色々と問題が発生します。その理由は、「100歳以上まで生きることを前提に社会が作られていない」ためです。次章で詳しく考えていきましょう。
2.これまでの人生のステージ構成
これまでの人生のステージ構成は、「教育→仕事→引退」の3ステージでした。
学校教育を受け、その後会社勤めをし、65~70歳で引退をし、今の平均寿命である85歳前後まで生きる。非常にしっくりきますね。
ただ、100年時代となると問題が発生します。それが、引退期間が長すぎるということです。
もし仮に65歳で引退し100歳まで生きると、35年も引退期間があります。大半の人がこの長い期間を過ごすのは金銭的に無理があり、現実的ではありません。
結論を言ってしまうと、80代まで働かなければならないのです。
はっきりと今何歳の人が80代まで働くのかは書いてないですが、モデルケースで紹介されている「1998年生まれのジェーン」は80代まで働かなければならず、「1971年生まれのジミー」は3ステージでは厳しい、と紹介されています。これらに該当する1971~1998年生まれの方は80代まで働くと思っていた方が確実でしょう。
では、80代まで働くことを前提に社会の仕組みは作られているでしょうか?
答えはNOですね。これが問題なのです。
ここがポイント!
企業の仕組み・国の仕組みが変わるのを受け身で待つのか、自分自身が100歳まで生きること・80歳まで働くことを前提にアクションを起こすのか、その選択が今迫られているのです。
ちなみに私は、起業をする際に「よくそんなリスクを取れるね」と言われたものですが、会社や社会の変化を待ち自分でアクションを起こさないことの方がリスクだと思いました。
自分の人生を他者に委ねている状況ですからね。もし仮に事業に失敗しても、そんなことは小さなことだとも思いました。事業を起こし、自分の全てをかけて努力した経験は、長い人生において必ずプラスに働くと思ったからです。
話を戻します。では、これからの人生のステージ構成はどうなるのかを、次章で説明していきます。
3.新たに加わる人生のステージ
これからは「教育→仕事→引退」に加え、①エクスプローラー(探究者)、②インディペンデント・プロデューサー(独立生産者)、③ポートフォリオワーカー、というステージが加わり、4~5ステージ(もしくはそれ以上)になっていきます。
ざっくりとそれぞれのステージを説明します。
- エクスプローラー(探究者)は、針路を検討するステージであり、勉強・旅などが例として書かれています。
- インディペンデント・プロデューサー(独立生産者)は、起業のようなイメージです。
- ポートフォリオワーカーは、様々な仕事や活動を同時にこなしていく、副業のようなイメージです。
*私は3つのステージを上記のように捉えましたが、読む人によってイメージは変わるかもしれません。特にポートフォリオワーカーを副業と捉えるのは飛躍しているかもしれません。
ちょっと抽象的ですね。私の実体験で具体的にお話しします。
私は、大学を卒業しているのでそれまでの期間が「教育」のステージです。その後金融機関に勤務し「仕事」のステージに入りました。以前までの価値観では、ここで定年まで働いて引退なのですが、私は独立をし「インディペンデント・プロデューサー」のステージを目指します。
その過程で、1年ほどエクスプローラー的なことをしてます。資格の勉強をしながら、本を100冊以上読み、映画を50本以上観て過ごした期間があります(このブログを書いている現在がこの状況です)。
中小企業診断士として独立しますが、その先にはやってみたいことがあります。色々な会社を経営してみたいですし、海外でも仕事をしてみたいです。そのために、ポートフォリオワーカーになることも考えられますし、再度エクスプローラーになることも十分あり得ます。
このようなイメージですね。では新たに加わるステージの中でどのように生きていくべきなのか、次の章で説明していきます。
4.どのように生きていくべきか
「レクリエーション」から「リ・クリエーション(再創造)」へ、というキーワードに全てが詰まってます。
これまで余暇として過ごしていた時間を、勉強などの自己投資の時間として、自分自身を再創造していく、ということです。
具体的に投資すべき資産として3つあげられてます。
- 生産性資産:知識・スキルなど
- 活力資産:健康的な体・幸福感がある心
- 変身資産:人的ネットワーク・自分自身にしかない強み
かなりざっくりしてますが、上記3つの無形資産に投資しリ・クリエーションしていくことで、新たに加わるステージを生き抜いていきます。ここでも私自身を例に具体化してみましょう。
私は、生産性資産として中小企業診断士という資格(スキル)を取得しました。
今後、マーケティング・WEBなど仕事で使う知識の向上はもちろん、語学(英語・中国語)を学習します。
海外で何かやってみたいという漠然とした目標があるからです。
そして活力資産として健康的な体を作るため実践していることがあります。1日2食・土日は1食・16時間断食・ランニング・筋トレ・白米や小麦は食べない・寒暖の差を付ける、などです(詳細はこちらの記事で)。
幸福感という面でも、サラリーマン時代より自分の好きなことができ日々成長が感じられる今は幸福です。
変身資産の1つである人的ネットワークは、前職で知り合った方々を中心にありますし、これから中小企業診断士として新たな人脈を構築していきます。
投資すべき3つの資産についてじっくり考えてみることで、今何をすべきかが見えてくるかもしれないですね。
5.まとめ
- 100年以上生きることが当たり前となる
- 従来の3ステージにエクスプローラー、インディペンデント・プロデューサー、ポートフォリオワーカー、が加わりマルチステージとなる
- マルチステージを生き抜くために、生産性資産、活力資産、変身資産、という3つの無形資産に投資をする
以上です。その他にも、教育・企業・政府はどうあるべきかという話や、お金に関する深い話などがあります。自分が置かれている立場で本から得られるものはそれぞれ異なると思いますので、是非実際に皆様に読んでほしいと思います。
最後に、3ステージ時代のなごりで、日本では「教育」が軽視されていると思います。
教育というステージが終わったら、仕事というステージに入り、その後退職まで再度教育を受けるという機会はほとんどありません。
これからは、終身雇用は崩壊し、転職・起業が当たり前になります。その会社でしか通用しない知識の習得、社内政治ということに時間を使わず、一般的な知識の習得・資格の取得に時間をかけ、必要であれば通信教育などに投資したり、可能であれば副業を積極的にやっていきましょう。
社会人の平均勉強時間(1日6分!)や、年間に読む本の冊数(6冊未満)などのデータがありますがひどいもんです。少し行動を起こすだけで、十分な差別化になるので、是非実践してみましょう。