独学者必見『中小企業診断士』試験の概要と独学合格者が考えるリアルな難易度について①

 昨今、AIに代替されにくい業種としてコンサルタントが人気を集めており、その唯一の国家資格である中小企業診断士の受験者数も安定推移しております(参考:中小企業診断士という資格について)。

 

 今回は試験の概要とあわせて難易度について述べていきます。私は独学で2019年に1次試験合格、2020年に2次試験合格を果たしておりますので、独学での受験を考えている方は必見の内容です。

中小企業診断士試験にご興味のある方は「まとめ記事」を参考にしてください

1.中小企業診断士試験の概要 資格取得までのステップ

資格取得までの3ステップ

  • ステップ1:1次試験(マーク式)
  • ステップ2:2次試験(筆記・口述) 又は 養成課程(養成課程の場合ステップ3はなし)
  • ステップ3:15日間の実務補修・実務従事

 以上の3ステップです。受験者数や合格率は下記の表のようになっております。

1次試験
受験者
   
 
合格者(合格率)
(B)
2次試験
受験者
   
 
合格者(合格率)
(D)
ストレート
合格率
(B×D)
平成23年度15,8032,590(16.4%)4,003790(19.7%)3.23%
平成24年度14,9813,519(23.5%)4,8781,220(25.0%)5.88%
平成25年度14,2523,094(21.7%)4,907910(18.5%)4.01%
平成26年度13,8053,207(23.2%)4,8851,185(24.3%)5.64%
平成27年度13,1863,426(26.0%)4,941944(19.1%)4.97%
平成28年度13,6052,404(17.7%)4,394842(19.2%)3.40%
平成29年度14,3433,106(21.7%)4,279828(19.4%)4.21%
平成30年度13,7733,236(23.5%)4,812905(18.8%)4.42%
令和元年度14,6914,444(30.2%)5,9541,088(18.3%)5.53%
令和2年度11,7855,005(42.5%)6,3881,174(18.4%)7.82%

「合格率5%の難関資格!」のように言われることもありますが、それはストレート合格率のことです。数年かけてしっかり準備をすれば誰でも手が届く資格だと思います。

それでは、それぞれのステップを掘り下げていきます。

2.ステップ1 1次試験について

1次試験はマーク式の試験となっております。

例年8月の上旬に2日間に渡り行われております。1次試験の1番の壁は科目の多さです。7科目です。この時点で嫌になる人も多いですよね。科目を1つ1つ見ていきましょう。

1次試験7科目

  1. 経済学・経済政策(60分)(100点)
  2. 財務・会計(60分)(100点)
  3. 企業経営理論(90分)(100点)
  4. 運営管理(90分)(100点)
  5. 経営法務(60分)(100点)
  6. 経営情報システム(60分)(100点)
  7. 中小企業経営・中小企業政策(90分)(100点)

 *1科目ずつ解説しているので、ぜひ読んでみてください

合格条件は60%以上取得し、かつ40%未満の科目がないことです。全ての点数の合計が420点以上で、かつ40点未満の科目がないこと、です。

ちなみに私は64点・60点・62点・82点・56点・56点・63点の計443点でした。効率的に取れました(笑)。

もし合計で420点取れず不合格となった場合、翌年は60点以上取れた科目は免除とすることができます。

これが科目合格制度であり、複数年合格に向けた戦略の要となる部分です。

2-1.科目合格制度を利用した場合の合格ステップ

 例:80・60・60・50・50・50・50、計400点で不合格となってしまった場合

 60点以上とれた3科目は、3年間科目合格という扱いとなり、翌年以降受験しなくてもよい。

 翌年残りの4科目が 60・60・60・50 計230点(平均57.5点)となった場合は、1次試験合格とはならず、翌年に50点だった科目で60点以上取れば合格です。

 一方、科目合格をしている科目を翌年も受けることが可能です。どういうことかというと、戦略として得意科目をまた受けることで平均点の底上げをする、ということです。

 上の例で行くと、4科目ではなく得意科目を再度受験し5科目で受験した場合、80・60・60・60・50 計310点(平均62点)となり合格です。上記の例より1年早く合格できましたね。

ただし、得意科目と思っていても、たまにもの凄く難易度の上がるハズレ年があり、逆にそれが足を引っ張ってしまう可能性もあります。

 取り得る戦略が多くあり、選択に迫られます。「これだ」という答えはないと思いますが、2次試験に繋がる企業経営・運営管理・財務会計を得意科目とし、科目合格していても毎年受けることが効率的かつ良策だと思います。

3.ステップ2 2次試験について

 

 2次試験は記述式となっております。「与件文」という文章を読み、その企業に対する助言等を記述する、という試験です。

 例年10月の下旬に行われ、1次試験との間隔の短さが壁となります。1次試験前から2次試験の勉強をするストレート生は少数派だと思いますので、実質準備期間は2~3か月程度(ストレート合格の場合)です。よって、当初より複数年計画を立てて臨む人も多くいます。

科目は4科目となっております。

2次試験4科目

  1. 事例Ⅰ(組織・人事)(80分)(100点)
  2. 事例Ⅱ(マーケティング・流通)(80分)(100点)
  3. 事例Ⅲ(生産・技術)(80分)(100点)
  4. 事例Ⅳ(財務・会計)(80分)(100点)

合格条件は60%以上取得、かつ40%未満の科目がないことです。

1次試験の点数を持ち越せるということは一切ありません。独立した試験です。

1次試験と違い、科目合格制度はありません

1次試験合格者は2回受験する機会があります。

2回不合格となってしまうと、また1次試験からです。厳しいですね。ここも大きな壁となっている要因の1つだと思います。

2次試験には大きな特徴があります。それは、解答が明示されていないこと絶対評価ではなく相対評価であり合格者は受験者の上位2割程度であること、です。

 そう、明確な解答が公表されないのです。だから、受験者が試験で書いた答案を集め、実際の点数と照らし合わせ、採点基準を予想するしかありません。予備校等はそのような対応をし日々対策を練っています。

 また、相対評価であるという点についても予想でしかないのですが、毎年2割程度で推移していることから、ほぼ間違いない説として定着しています。

 1次試験を突破した猛者たちのうち、上位2割しか合格できず、かつ採点基準が明確でない…。

 これが難関資格と言われる最大の理由だと思います。

 ちなみに私は、1年目62点・52点・68点・55点の計237点の3点不足で不合格となり、2年目75点・67点・68点・67点の計277点で合格しました。手応え的には、1年目は試験終了時に「間違いなく落ちた。200点もいってない」という感じでした。2年目は終わった瞬間に合格を確信しました。

 採点基準が不明確なのは心臓に悪いですが、勉強したら必ず成果に繋がるという面もあることを実感しました。

 明確な答案が提示されないだけで、明確な方向性は間違いなく存在します。

 その方向性に沿った解答をしていく試験であり、決して解答の幅が広く何でも書けてしまう試験というわけではありません

 合格者の解答を複数読んでみると、ほぼ同じ方向性で答案が作られていることが分かります。

 無事合格をすると、口述試験が12月下旬(近年は年明け)に行われるのですが、これは振るいにかけるための試験ではありません。よって、記述試験が最大の壁です。

 口述試験については単独で記事を書きかましたので、参考にして下さい。

3-2.養成課程という選択肢

養成課程とは、1次試験合格者が大学等に半年~2年通い卒業することで、中小企業診断士の資格を取得できるシステムです。

私が以前いた金融業界では、中小企業診断士資格を推奨している企業も多く、積極的に養成課程に派遣しています。むしろ、養成課程が正規ルートになっていると言っても過言ではないです。専用枠などの優遇もあります。

高額な学費(200万円以上)を勤務先が負担してくれて、かつ派遣期間も通常の給与が出るのであれば、利用しますよね。

費用は掛かるものの、同じ志を持つ人との繋がりができ、卒業できれば資格取得できるので、選択肢としては「あり」です。副業ができるなら、投資分は後々回収できますし。

ただ、1次合格者が増えた令和2年度は、養成課程の倍率も高かったとのことであり、誰しもが希望すれば行けるものではないようです(後日談、倍率は徐々に高くなっています)。

独立を目指している方で、確実に資格が欲しい人も検討して良いと思います。実は私も2回目の2次試験が不合格だったら行くつもりでした…。

4.ステップ3 15日間の実務補修・実務従事

 無事2次試験に合格したあとは、15日間の実務を行います。

 実務補修と実務従事という形があります。

 実務補修とは、実際の企業に訪問し、グループで企業に対するインタビュー等を行い、5日間で現状分析・課題解決策提示等の成果物(診断書)を作成する、というものであり、中小企業基盤整備機構で参加者を募集してます。

3年以内に15日間を行えばよいので、すぐに資格を使わない場合は年5日間ずつ・ゆっくりやっている方もいます。

 

実務従事は、既に中小企業経営者とのコネクションがあり、コンサルタント業務ができる環境にある人などが利用します。実際に私は、1月の合格発表直後に、1月中に15日の実務従事を終わらせ、登録の申請をしました(これが最短ルートです)。

 以上で無事に中小企業診断士の資格取得となります。

長いステップですね。

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