本紹介③FACTFULNESS ファクトフルネス 10の本能からの脱却

 今回はFACTFULNESS(ファクトフルネス)(ハンス・ロスリング、オーラ・ロスリング、アンナ・ロスリング・ロンランド著上杉周作、関美和 訳 )です。

 本書は、2019年1月に発売され、2020年に最も売れたビジネス書であり、2021年1月時点で100万部売れているベストセラー本です。

 何部売れた、ということをいつも書いており、100万部はすごい数字ですが、逆にいうと100万人しか読んでいないんですよね。

 知らなかった情報が多くあり、知識が一気にアップデートされた1冊です。

 そして、読んだ人を前向きにしてくれます。

 ぜひ、この紹介で気になった方は買って読んでみて下さい。

他の本紹介にご興味のある方は「まとめ記事」を参考にしてください

 

1.10の本能

 本書の副題は、「10の思い込みを乗り越え、データを基に世界を正しく見る習慣」であります。

 本の中では、10の思い込みが「10の本能」として書かれています。

 10の本能の紹介の前に、13個の質問があります。1つだけ紹介します。

 Q.世界の人口のうち極度の貧困にある人の割合は20年でどう変わったか

 ①約2倍になった ②あまり変わっていない ③約半分になった

 

 正解は、③約半分になった です。

 「世界は確実に良くなっている」のですが、13の問題の正解率は著しく低いのです。

 世界の有識者に質問をしても、正解率は33%を切ることから、

 「チンパンジー以下」(チンパンジーが適当に答えても正解の期待値は33%のため)と風刺します。

 その要因は、「10の本能」が働いているからだと筆者は述べます。

 その「10の本能」

『10の本能』

  1. 分断本能:「世界は分断されている」という思い込み
  2. ネガティブ本能:「世界はどんどん悪くなっている」という思い込み
  3. 直線本能:「世界の人口はひたすら増え続ける」という思い込み
  4. 恐怖本能:「危険でないことを、恐ろしいと考えてしまう思い込み」
  5. 過大視本能:「目の前の数字が一番重要だ」という思い込み
  6. パターン化本能:「ひとつの例がすべてに当てはまる」という思い込み
  7. 宿命本能:「すべてはあらかじめ決まっている」という思い込み
  8. 単純化本能:「世界はひとつの切り口で理解できる」という思い込み
  9. 犯人捜し本能:「誰かを責めれば物事は解決する」という思い込み
  10. 焦り本能:「いますぐ手を打たないと大変なことになる」という思い込み

 であります。これらの本能が働き、例えば

 「世界では戦争、暴力、自然災害、人災、腐敗が絶えず、どんどん物騒になっている。金持ちはより一層金持ちになり、貧乏人はより貧乏になり、貧困は増え続ける一方だ。何もしなければ天然資源ももうすぐ尽きてしまう。」

 といった先入観をもってしまい、13の質問に正解できないのだ、と主張します。

 思い当たるふし、ありませんか?

 私はこの本を読んだ当時、思い切りありました(笑)。

 では、具体的に10の本能のうち、いくつかを紹介します。

 ここで取り上げない本能も、物凄くためになります。ぜひ、本を実際に買って読んでみて下さい。

 

2.分断本能について

 分断本能は、「世界は分断されている」という思い込みです。

 例えば、「先進国」と「途上国」「お金持ち」と「貧乏人」などです。

 しかし、実際に途上国と先進国の差などは誰も分からないのです。ここで、筆者は4つのグループを作ります。

 レベル①~レベル④とし、レベル①は1日の所得が2ドル未満レベル④は1日32ドル以上、という分類です。

 お金だけでなく、生活水準(水の調達、移動手段など)も考慮してます。

 そして、レベル①の人を「極度の貧困層」としています。

 1997年には世界の全人口のうち29%がレベル①に属していましたが、2017年には9%まで減っています

 そして、世界の大半の人はレベル②とレベル③に集中しております。

 つまり、実際に分断などされておらず、大半は中間部分にいるのです。

 これをファクト(事実)として分断本能を断ち切りましょうというのが、この本能に対する主張です。

 その通りですね。

 まず、世界がこんなに良くなっていることを知らなかったです。

 なぜ知らなかったのか、これにも理由があります。以降で述べていきます。

3.ネガティブ本能について

 ネガティブ本能は、「世界はどんどん悪くなっている」という思い込みです。

 前章で述べたよう、極度の貧困の中で生きる人は確実に減少してます。

 1997年から2017年にかけて、29%から9%に減ってます。

 具体的に中国とインドでは合計で7億7千万人の人が極度の貧困から脱却してます。

 他にも、世界の平均寿命は72歳まで延びてます(!)。

 なぜ、このような事実に気づけないのか?

 それは、メディアによる偏った報道にも原因がある(当然全てではない)と述べてます。

 悪いニュースは、ネガティブ本能をくすぐり、一気に広まりやすいのです。

 当然、メディアはそれを利用します。

 例えば、「テロ、戦争、病気、海洋汚染、温暖化」などです。

 「今日も世界の大半は平和でした」ではなく「紛争で〇〇人が亡くなりました」の方がニュースになりますよね。

 世界の大半が平和であり、世界は確実に良くなっているのです。

 それは報道されないのです。だから知らないのです。

 実生活でも、報道に過剰反応せず、ネガティブ本能を抑えましょう。

 最近、思い当たるふし、物凄くありますよね。

 感染症です。〇〇人感染!です。

 確かに、未知の感染症は、すぐに対策すべきリスクであります。筆者も述べてます。

 しかし、過剰です。ネガティブなニュースが報道機関を儲けさせるのです。

 どんな対策がされ、どのように改善に向かうか、そのために誰が努力しているか、我々ができることは何か、

 進捗はどの程度か、ということをポジティブに報道し、パニックを抑えるべきですよね。

 医学は進歩しており、確実に改善に向かっているはずです。

 ニュースは冷静に見ましょう。

4.犯人捜し本能について

 犯人捜し本能は、「誰かを責めれば物事は解決する」という思い込みです。

 例えば、「宗教」「国」など、思い当たるふしがありますよね。

 特定の宗教を悪と決めること(これも「善」と「悪」の分断本能ですね)、

 特定の国を悪と決めること(主義の違い)など、ありますよね。

 これは、複雑な真実から目をそらし、冷静に考えることを放棄し、誰かが悪いと責める、危険な本能です。

 犯人ではなく、システムなどの原因を探るようにしましょう。ということを主張してます。

 その通りだと思います。報道を見ても、誰かを「悪」と決めつけた報道がありますよね。

 正直、国のトップ・政党など特定の個人・団体に責任を問えるほど、国は小さな集団ではありません。

 そもそもの原因を探り、そこを改善するように動いていかないといけない、ということですね。

 個人を責めるのであれば、どこが悪いのか、どう改善すべきなのかを言うべきであり、

 団体も同じです。

 

 一般企業でもよくあることですよね(たぶん)。

 犯人捜しをし、特定の個人に責任を押し付けることなど。これは本当に危険ですね。

 原因は「企業にある」ことが多いと思います。

 具体例は特に述べませんが、本来であれば企業を改善しないといけないのに、

 個人に責任を取らせ解決、としているケースが往々にしてありますよね。

 

5.まとめ

  「世界は確実に良くなっている」、これに尽きると思います。

 1歩1歩確実に世界は進歩してます。今、苦しんでいることも、絶対に良くなります。

 ネガティブなニュース、犯人捜しなどから脱却し、ファクト(事実)をもとに

 世界を見ていきましょう。ということです。

 素晴らしい本です。

 ぜひ、読んでみて欲しいです。前向きに生きられます

 そして、世界を捉える目だけでなく、実生活の小さなことにおいても、

 ファクト(事実)をもとに考え、行動していく癖をつけましょう。

 他者をネガティブ本能で「悪い一面」ばかりを見て、

 分断本能で「悪」と決めつけ、ろくなファクトチェックもせずに「犯人」と決めつけ、

 よく分からない「恐怖」から、追いやること、意外とやっているかもしれませんよ。

 最後にもう一度、是非読みましょう!!

他の本紹介にご興味のある方は「まとめ記事」を参考にしてください

 

 

 

 

 

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