本紹介(番外編) 引き算する勇気 会社を強くする逆転発想
今回の本紹介は、引き算する勇気 会社を強くする逆転発想(著者:岩崎邦彦)です。
これまで扱ってきた、3冊はベストセラー本ですが、今回は知名度という点ではあまり知らない方も多いかもしれません。
しかし、著者の岩崎邦彦氏は一部界隈ではものすごく知名度のある方です。
それが、中小企業診断士試験界隈です。
この方は、中小企業診断士試験の2次試験、事例Ⅱのマーケティングの作問に深く関わっている方です。
作問者の意図を知る、という点で読む人も多い本です。
私も1冊は読んでおこうと思い購入したのですが、実はものすごい良書です。
今回は、本紹介なのですが、カテゴリーを「中小企業診断士に関する話題」に分類し、番外編としてご紹介します。
他の本紹介にご興味のある方は「まとめ記事」を参考にしてください
目次
1.シンプルであれ
冒頭お伝えした通り、この本は中小企業診断士試験の作問者が書いている本であるため、中小企業が生き残るための戦略について非常に良く書かれています。
例えば、「シンプル」という言葉への良好なイメージから、無駄をどんどんそぎ落とし、尖っていくことでブランド力を高められる、ということです。
文章で見ると違和感なく入ってきますが、日本のメーカーはどんどん機能を足していく「足し算の経営」で低迷しました。
飲食店で考えてみると分かりやすく、「カレー・ラーメン・寿司・フレンチ・イタリアン…」とどんどん広げている店よりも、とことんラーメンにこだわった店の方へ行きたくなりますよね?
飲食店で考えると足し算は良くないと理解できるのですが、現実的には「足し算企業」が多いのです。
2.足し算にこだわるとどうなる?
なぜ足し算をしてしまうのか?
それは、例えば商品を増やすことでリスクヘッジをする、機能を増やすことで利用者を増やす、足し算=付加価値、多い=豊か、という誤った考えが蔓延してしまっているからです。
実は、中小企業が低迷するきっかけもこのパターンが多いです。取扱商品を増やしてみたり、ということで低迷してしまうことが多々あります。
理由は、分散しているのはリスクではなく「経営資源」だからです。
足し算により、短期的な売上を求めたりすることで、経営資源が分散し、かつ個性が希釈化してしまうのです。
特に、経営資源の乏しい中小企業でこれをやってしまうと、致命的なダメージになりかねません。
3.引き算企業の強みは何?
一方、引き算企業はどうなのか。
引き算企業は、イメージは「やらないこと」を決め、どんどんそぎ落とし、徹底的に強みを追求する、というものです。
そうなると、「専門性強化」「ブランド力向上」「リピート率アップ」「SNS映え」などに繋がっていきます。
これらの言葉から創造できるのは、「高付加価値」「希少性」などですね。
まさに、中小企業の生き残り戦略です。
実際の引き算企業のイメージ湧きますか?
例えば、スターバックスや無印良品などです。
なぜかというのは、是非本を買って読んでみて下さい。
4.ターゲットや場所も引き算
次に、誰に売らないかというターゲットの引き算も考えます。
例えば、飲食店を経営している場合、「値段が唯一のものさし」という方をターゲットにしたら、思い切り価格競争に巻き込まれてしまいますよね。
つまりそういった層を引き算してしまいます。
そうやって引き算していくと、例えば「1日1組限定」の半年間予約の取れないレストラン、のような店もできるかもしれないですし、ランチ帯で3,000円のカレー・高リピート率・高満足度、みたいな店もできるかもしれません。
場所もそうですね。
幅広いエリアで勝負するより、どんどんエリアを狭くし、そこで輝くことで、希少性・ブランド力が増すということです。
私の大好きな「吉村家」もそうかもしれないですね。
ただ、実際にはどうでしょう?
すぐに短期的な売上を狙い価格競争に飛び込んだり、エリアを拡大させたり、店舗拡大させたり、ということ、してしまうんです。
この本では、実際に引き算で成功している「中小企業の例」が載ってます。
「なるほど」とうなる内容です。
5.まとめ
以上です。
中小企業の生き残り戦略の他にも、地方都市が生き残る戦略も「引き算」であるとしています。
本書以外にも、『ランチェスター戦略』を扱った本を読んでみるのも参考になります。
中小企業の支援をしている方、地域活性化に取り組んでいる方は必見の本です!
(このブログを書いている時に文庫版が出たことを知りました。値段的にもおすすめです。)