住宅ローン 全ての疑問に答えます① 持ち家・賃貸論争
今回から、『住宅ローン』についての記事を書いていきます。
金利タイプ・金融機関の選び方など、金融機関出身の社長が疑問にお答えします。
まずは、そもそも「持ち家と賃貸どっちが良いのか」という視点でのお話です。
ぜひ最後まで読んでください。
目次
1.「持ち家」と「賃貸」どちらがよいか
まず、結論から申し上げます。
この問題に、答えはないです。まずはそれぞれのメリット・デメリットについて考えましょう。
次に、何か『切り口』を持って検討すると良いでしょう。
例えば、『お金』・『ライフスタイル』などです。
また、そもそも論ですが、どちらにすべきかということに答えを出す必要はないです。
それぞれの結論を導くので、良いと思う方を選択するべきです。
『とりあえず持ち家を買う。いらなくなったら売る。』ことも検討できます。
今回は具体的に『お金』をメインの切り口に次章からご説明していきます。
2.「賃貸」のメリット・デメリット
まずは『賃貸』のメリットです。
賃貸のメリット
- 好きなところに住める
- ライフステージに合わせて柔軟に変化できる
- オーナーがメンテナンス費用を負担
例えば、勤務先が変わるごとに、勤務先の近くに住むことで、何より大切な『時間』を生み出すことができます。
これは非常に大きなメリットです。
また、ライフステージに合わせて住む場所を変えれば、結果的に居住費用を抑えることができるかもしれません。
例えば、一人暮らしの時は月5万の物件・結婚したら月8万・子供が生まれたら月13万・子供が自立したら月10万などです。
その際に、駅近に住む・郊外に住む、などの選択も可能です。
金銭面で言えば、大型メンテナンスはオーナーが負担してくれるケースがほとんどですね。
次に、『賃貸』のデメリットです。
賃貸のデメリット
- 『不動産』という資産が持てない
- 信用力
あえて挙げるとしたら、私は上記の2つです。
正直、どちらも大きなデメリットではありません。
ただ、金融機関に勤務した経験から、『持ち家』と『賃貸』で信用力が変わるのは事実です。
また毎月家賃を支払いますが、自分の『不動産』という資産になることはありません。
以上がデメリットです。
以上のメリット・デメリットを踏まえ次章で、『賃貸』に住むならこうすべき、という1つの答えをご説明します。
3.「賃貸」に住むなら
結論は、「時間を最優先にし、家賃は極限まで落とす」です。
そして浮いたお金を投資に回しましょう。
やはり、柔軟に住む場所を変えることで時間を生み出せるというメリットは非常に大きいので、これを最大限活用すべきです。
次に、どうせ資産にならないのならば、家賃は極限まで落とすべきです。
そうして、浮いた資金を投資に回すことです。
「不動産を持てない」ということをデメリットにするかどうか悩んだのは、正直自分が住む家を不動産として持つ必要性を、私自身があまり感じていないからです。
これから日本の人口がどんどん減少し、一人当たりの国土は増えていきます。
不動産の持つ価値がどう変化するか分かりません。
一方確実に分かっていることは、これから伸びていく国が多くあるということです。
ならば、日本の不動産を持つことよりも、海外に投資した方が良い、というのも1つの答えです。
「不動産」という資産を持てない分、別の「金融資産」を持てばよい、という結論ですね。
一番やってはいけないことは、家賃の高い場所に住むことです。
収入の半分を家賃に投じてタワーマンションに住むなどは、愚の骨頂です。
【結論】
時間を最優先にし、家賃は極限まで落とし、浮いたお金は金融資産に投資する。
4.「持ち家」のメリット・デメリット
次に、「持ち家」のメリット・デメリットですが、基本的には「賃貸」の逆ですね。
持ち家のメリット
- 「不動産」という資産が持てる
- 持ち家に住んでいるという信用力
- ローンが無ければ、居住費が少なくなる
- 好きなようにカスタマイズできる
まずメリットです。
自分自身の資産になり、信用力が高まることです。
そして、ローンを完済すれば居住費は一気に減少します(これは難しいですが)。
また、自身の資産なので建築基準法等の法規制の範囲内なら比較的自由にカスタマイズできます。
持ち家のデメリット
- 移動が困難
- ライフステージの変化に柔軟に対応できない
- ローン返済以外の固定費が掛かる
- リフォーム等の大型メンテナンスの必要性
- 資産価値の下落
次にデメリットです。
まず、一度買ってしまうと移動が困難です。
近所付き合い・子供の教育環境などなど、買ってから気付くことも多いですし、致命的なダメージに繋がるケースもあり、個人的には結構リスクだと思います。
また、ライフステージの変化についてですが、金融機関に勤めていた時に意外と多かったのが、「離婚」です。
家を買う時にあまり考えないですが、離婚率の高さから、考慮すべきリスクです。
あとは、固定資産税や火災保険、マンションなら管理費や修繕積立・駐車場など、ローン返済以外の固定費が掛かります。
次にリフォーム等の必要性が出た場合、かなりの出費になることです。
最後は資産価値の下落についてです。
都内の利便性の高いマンションなど、価格の落ちづらい物件や、もしくは買ったときより価値が上がる物件もあるかもしれないですが、まぁ例外です。
通常は、価値が下落していきます。
この下落幅が大きいと、メリットである「不動産という資産が持てる」というものが消滅します。
特に、新築一戸建は買った瞬間に建物価値は大きく下落します。
こうしてみると、デメリット多いですね。では次に「持ち家」に住むならこうすべき、という点を見ていきましょう。
5.「持ち家」に住むなら
あくまで、切り口は『お金』です。
よって、「不動産」という資産の資産性(換金性)から考えます。
まずは精神的デメリットを打ち消しましょう。
「一生に一度の買い物」・「一生涯住む場所」など、気負わないことです。
嫌なら売る、失敗したと思ったら損切りする、くらいの気持ちで購入すべきです。
そして、あまりこだわり過ぎないことです。
こだわりが強いと離れづらくなります。
「不動産」という資産のうち、一戸建ての場合、価値として残るのは土地です。
例え、超有名ハウスメーカーの建築した建物でも、木造物件であれば20年で価値はなくなります。
そしてこだわりが強いほど、手放す時に売却が難しいです。
よって、換金性という面で一番良いのは、価格が落ちづらいマンションや、土地代がほとんどの中古戸建です。
一番悪いパターンは、「不退転の覚悟で、建物にとことんこだわった高額な物件を買うこと」です。
【結論】
換金性を重視。損切りする覚悟も必要。
6.まとめ
【賃貸にする場合の結論】
時間を最優先にし、家賃は極限まで落とし、浮いたお金は金融資産に投資する。
【持ち家にする場合の結論】
換金性を重視。損切りする覚悟も必要。
以上が『お金』を切り口とした、賃貸・持ち家論争の結論です。
当然、『お金』以外の切り口もたくさんありますよね。
価値は二の次で、山の近く・海の近く、都会・田舎、など『ライフスタイル』重視の切り口もあります。
その場合、建物にとことんこだわりぬくことも良いことです。
つまり、基準とする価値観は十人十色なので、この論争で「どっちにするべき」という答えもいりません。
一旦持ち家に住み、その家をあとあと賃貸物件とし、自分は別の場所に住む、という選択もあります。
つまり、良いところを享受しながら、自分自身も柔軟に対応できるのが最もよいと思います。
では、次回いよいよ住宅ローンの話に入っていきます。
【参考】YouTube動画