ECRSの原則とは
本日は、改善のフレームワークである「ECRSの原則」について解説します。
中小企業診断士試験においては、運営管理で出てくるフレームワークですね。
工場の改善、という限られた場所ではなく、日常における全ての事柄に応用できるフレームワークです。
ぜひ、日常的にECRSを意識し、1日に使える時間を増やしていきましょう!
1.ECRSの原則とは
ECRSの原則とは、「イクルス」と読み、以下の単語の頭文字をとったものです。
ECRSの原則
- E…Eliminate(排除)
- C…Combine(結合)
- R…Rearrange(再配置)
- S…Simplify(単純化)
例えば、工場の現場などで、
「この作業をなくせないか」、「この作業とこの作業を一緒にできないか」、「作業全てを見直し一部外注に出せないか」、「もっと作業を単純化できないか」、という視点で考えるということです。
個人的にはものすごく日々の生活において役立つフレームワークだと思っております。
E→C→R→Sの順番で、日常のルーティンや仕事を見直すことで、「できるビジネスマン」になれます。
さらに一つずつ見ていきましょう。
2.E…Eliminate(排除)
まずは『E』からです。
「なくせないか」という視点で見ます。
全てのことを、まずこの視点で見直しましょう。例えば下記のような形です。
ビジネスの現場における『E』の対象
- 朝礼
- 日々それほど変わらない数字の報告
- 書くことが目的化した書類・日報等
- 紙の報告書
- 印鑑
- 多すぎる検印
など
他にも、最近はすっかり無くなったと思いますが、強制的な飲み会などですね。
次は日常です。
日常における『E』の対象
- 新聞を読む時間
- テレビを見る時間
- スマホを触る時間
- 動画を見る時間
など
これらが悪いというわけではなく(新聞・テレビのニュースは必要ないと思いますが)、1時間減らすことはできないか、という視点ですね。
あとは、決して娯楽をなくすという意味合いではありません。
娯楽としてのテレビや動画視聴はいいと思います。
何となくやってしまう行為として、という視点です。
実際に私は、スマホを触る時間は意識するようになりました。
SNSをやるようになってから、どうしても触る機会が増えてしまったので、強制的にSNSをやらない日を作るようにしてます。
どうでしょう?
ビジネス・日常において、本気で『E』という視点で考えたら数時間は生まれると思いませんか?
3.C…Combine(結合)
次は『C』です。
「一緒にできないか」という視点で見ます。
具体的に見ていきましょう。
ビジネスの現場における『C』の対象
- 3回の会議を1回にできないか
- 3つの報告書を1つにできないか
- 3つの工程を1つにできないか
など
多すぎる会議とか時間の無駄ですよね。
そもそもなくすべきものですが、どうしてもやりたいなら、全てを1つにまとめましょうという視点です。
一旦全ての業務を見たら、なくせるものは非常に多くあり、その次に「これとこれは一緒にできるな」というものも非常に多くあると思います。
日常における『C』の対象
- 移動しながら勉強
- 食事しながら報告書
- 筋トレしながら動画視聴
など
日常的にはイメージしやすいですね。
通勤のスキマ時間を活用した勉強など、まさにこれです。
こうしたコツコツとした時間の積み上げが大きな差に繋がります。
意識が変わってくると、通勤時間や着替える時間ですら、だんだんとCからEの対象に変わっていきますよ(笑)
4.R…Rearrange(再配置)
次は『R』です。
正直、Rはあまりイメージが湧きづらいのですが、一旦全てを俯瞰して見て適正な配置にしましょう、ということです。
ビジネスの現場における『R』の対象
- 業務フロー全体において、ノンコア業務をアウトソーシングする
- 現場サイドの業務を、バックオフィスの業務にする
など
全ての業務フローや、担当部署を見直し、『利益を生むコア業務へのリソース配分を厚くする』、『ノンコア業務についてはバックオフィス、もしくはアウトソーシングする』ということですね。
気を付けるべきなのは、コア業務とノンコア業務を意識することです。
利益に直結しそうなコア業務をアウトソーシングしてしまうと、ノウハウの蓄積ができず、組織が弱くなってしまいます。
日常における『R』の対象
- 全てスマホで一括管理
- 外注に該当するものを利用
など
今は、全てのことがスマホ1台で解決します。
スケジュールも、連絡も、調べものも、つまり何か別々に分けているものを「スマホ1台での管理」に再配置する、というイメージですね。
外注に該当するもの、というのは例えば「買い物・掃除・料理」などを外注するというイメージです。
当然費用が掛かるので、費用と応相談ですが、「料理・掃除時間」を外注できれば相当な時間が生まれますね。
今はサービスが多様化しているので、個人の日常においても「外注(アウトソーシング)」という視点を持つと良いと思います。
5.S…Simplify(単純化)
最期は『S』です。
「単純化できないか」という視点で見るということです。
これは、本当に必要な視点です。
ビジネスの現場における『S』の対象
- システム化・自動化
順番としては、E→C→Rという視点で考え、最後まで残ったものに対する考え方です。
なので、ここまで残ったものは、あとは「単純化」です。
システム化・自動化などですね。
そして、単純化できないその仕事こそが、その会社において『人』がやらなければならない超重要なコア業務ということですね。
日常においてもそうですね。
最後は単純化という視点でものごとを見ます。
大体、仕事は「足し算」で色々なことが重なっていくので、どんどん複雑化していくものです。
意外と、全てのことは単純化できるものです。
6.最後に
ECRSの原則、非常に役に立ちそうですよね。
仕事だけでなく、普段の行動1つ1つをこの視点で考えることで、多くの時間が生まれます。
日本の会社の生産性が低いのは、これがしっかりできていないことにも大きな要因があると思います。
どんどん複雑化させ、タスクに関わる人を増やすことで、生産性が落ちていきます。
そして、無くしたりしようとすると、「この仕事は必要なんだ」となり改革ができなくなります。
必要のない業務に、必要性を与えることで、自身の存在意義を守ろうとする人も出てきます。
部署ごとがどんどん複雑化していき、セクショナリズムも発生します。
こうして改革ができなくなってしまいます。
一旦冷静になりECRSの視点で見ると、ものごとは意外となくせる・一緒にできる・再配置できる・単純化できるもので溢れてます。
ぜひ、この視点を持つようにしましょう。
人生において使える時間が何倍にもなるかもしれませんよ。