独学者必見『中小企業診断士』試験の概要と独学合格者が考えるリアルな難易度について③
前々回は中小企業診断士試験の概要(→こちら)
前回は1次試験の難易度及び勉強方法について(→こちら)
今回は2次試験の難易度及び私が実践した勉強法や使用した教材・勉強時間についてです。
中小企業診断士試験にご興味のある方は「まとめ記事」を参考にしてください
目次
1.2次試験の難易度について
2次試験の難易度についてですが、結論は…
「分かりません」 です。
相対評価で上位2割程度しか受からず、かつ受験者は全員1次試験を突破しているので、難関であることは間違いありません。
生半可な学習では絶対に合格はできないです。
しかし、逆に言えば、上位2割に入れば合格できます。これを難関と捉えるかどうかは、完全に個人の感覚だと思います。
私は最初は超難関だと思いましたが、最終的には難関だとは思いませんでした。
理由は後で説明します。
科目は
- 事例Ⅰ(組織・人事)
- 事例Ⅱ(マーケティング・流通)
- 事例Ⅲ(生産・技術)
- 事例Ⅳ(財務・会計)
です。1次試験合格レベルの知識があれば、新たな「知識」のインプットは必要ありません。
2次試験独特のアウトプットを学ぶことと、事例Ⅳの過去問の暗記、が必要です。
「中小企業診断士試験 2次試験 勉強時間」で検索すると、ストレート合格者は大体200時間程度となります。
これは、1次試験と2次試験の間が2か月程度しかないので、必然的に200時間程度しか勉強時間が作れないからです。
一方、2次試験だけで1,000時間以上の勉強をする人もいます。私が参考書として利用していた「ふぞろいな合格答案」という問題集に合格者の体験記があるのですが、そこで紹介されている方でも1,000時間以上かけている人を見かけます。
また、「明確な答えが示されていない」「採点基準が不明確」という試験内容から、対策が難しいため難関と感じる方も多いと思います。
匿名掲示板では2次試験に対する批判的な意見をよく見かけます。
運ゲー・おみくじと言われたりしており、正直私も1年目はそのように思ってました(笑)。
しかしそのような試験でも、2回目に受験した際は、試験が終了した瞬間に合格を確信できました。
採点基準が不明確な試験で何が手応えに繋がったのか、私なりに分析をし、以下で有効だと思われる勉強方法を実体験をもとに記載します。
2.2次試験の効率的な勉強方法 実体験編
私は2次試験は2回受験してます。
1回目の試験結果(令和元年度)
- 事例Ⅰ…62点
- 事例Ⅱ…52点
- 事例Ⅲ…68点
- 事例Ⅳ…55点
計237点で不合格でした。
2回目の試験結果(令和2年度)
- 事例Ⅰ…75点
- 事例Ⅱ…67点
- 事例Ⅲ…68点
- 事例Ⅳ…67点
計277点で合格でした。
ちなみに、280点(平均70点)で高得点合格者と言われてます。
勉強をした時間は、1年目は100時間、2年目は250時間、計350時間くらいでした。
1年目は過去問5年分1周をやったのみです。
2年目に使用した教材は
- ふぞろいな合格答案10年データブック(平成19~28年度分)
- ふぞろいな合格答案12(平成30年度分)
- ふぞろいな合格答案13(令和元年度分)
- 2次試験合格者の頭の中にあった全ノウハウ(平成29年度分・平成30年度分)
- 2次試験合格者の頭の中にあった全知識
- 30日突破 事例Ⅳ合格点突破計算問題集
以上6冊です。あとは、過去問13年分の問題を2セット用意しました。
意思決定会計講義ノート(イケカコ)も買いましたが、使いませんでした。
1年目はわけも分からず、過去問5年分を1周しただけの知識で臨みました。80分で時間を計って過去問を解いたこともなく、タイムマネジメントも一切なしの、ぶっつけ本番でした(笑)。
1年目の失敗を生かし、まず2年目は勉強の方向性をはっきりとさせました。
- 事例Ⅰ~Ⅲのタイムマネジメントをはっきりさせること
- 解答方法は、「ふぞろい式」のキーワード方式に統一すること
- 事例Ⅳは過去問を解く以外に、過去問を暗記する時間を設けること
以上です。
上記のルールを徹底した上で、まずは13年分の過去問を1周やりました。
タイムマネジメントについては、20分で与件文を読み、1問10~15分で解き、70分で終わらせる、ことを意識しました。
とにかくやってみると分かるのですが、時間がありません。与件文を読めるのは1回、解答は下書きをする余裕もない、というイメージです。
解答方法をキーワード方式に統一というのは、例えば10人の合格者の答案を見比べて、共通しているキーワードを1個につき何点と考え、加点方式で採点していく方法です。
「シナジー効果」というキーワードが入っていると「2点加点」、といった具合です。
解答方法を統一化することで、余分な情報は排除し、思考パターンを統一・効率化しました。
事例Ⅳは採点基準が不明確な試験の中で、唯一明確な答え(計算問題)があります。よって、事例Ⅳを制する者が2次試験を制すると言っても過言ではなく、実際に多くの受験生が事例Ⅳに力を入れます。
1周やってみて、新たな課題が生まれました。点数が伸びないのです。平均で60点くらいは取れるのですが、突き抜けることができない状況でした。
原因を探るべく、2周目は「ネットを徘徊」し色々な情報を探り続け、自分に不足している情報の確保に努めました。
やっぱり素晴らしい情報を残している方がいらっしゃいます。私は「ねとたす」さんという方のYouTube動画で、問題が解決しました。(私が参考にした動画、本当に素晴らしいです)
自分に不足していたのは「設問分析」でした。これも実際にやってみた人には伝わると思うのですが、とにかく何を聞かれているのか分からない・解答の方向がずれている、という事態に初期はよく遭遇します。
設問分析をする(ルールを作る)ことを意識し、3周目に突入すると、平均点は80点くらいになりました。
4周目は試験直前に、与件文を読み、自分の作った答案を読む、ということをやっただけです。
以上13年分を4周(解いたのは2回)、別途事例Ⅳの暗記を行い、無事合格することができました。
以上が私の実体験です。次に、それを一般化した勉強方法を提案します。
3.2次試験の効率的な勉強方法 提案編
- タイムマネジメントを意識し、ひたすら過去問を解く(与件文20分・1問10~15分)
- 事例Ⅳは過去問を暗記
- 設問分析を行う。何を問われているのかはっきりするまで、納得するまで。曖昧なままにしない。
- 自分のルールを決め、それをひたすら遵守する
以上です。勉強方法というには大雑把ですが、上記のことを意識し13年分を4周(実質2周)やれば受かります。
4の自分のルールについて、私の決めたルールを紹介します。
与件文はマーカーを使い、「強み・機会はピンク」、「弱み・脅威は青」、「ビジョン・キーワードは緑」、「逆接の接続詞・年代はオレンジ」、「その他重要になる可能性のある部分は黄色」と決める。これにより、1回読み終わったあとで、大まかな文章構成を視覚的に把握できます。
設問分は、「問われているものを青」、「制約条件を緑」、「重要なポイントをピンク(理由・助言など)」と決める。これにより、問われていることの方向性を見失わずに済みます。
上記はあくまで例です。マーカーは一切使わないという方もいます。私はマーカーを使う代わりに余分な文章は一切書きませんでした。下書きなしで、SWOTを別途記載するということもしませんでした。
マーカーを持ち替える時間を惜しみマーカー使用派と不使用派が分かれるくらい、時間のない試験なのです(笑)。
過去問をやりながら、自分のルールを確立させていきましょう。
たまに、マーカーを使うな、みたいな意見も見かけますが、自分が分かりやすいようにやればいいと思います。
マーカーを使っても高得点は普通に取れましたし。
*参考:実際の試験(令和2年度事例Ⅰ)
強みを中心に記載している段落・弱みを中心に記載している段落など、視覚的にすぐ分かります。
事例Ⅳの暗記は、解答プロセス・計算方法などを、「暗記してしまうくらい」何度も解きましょう、という意味合いが強いです。
本当に事例Ⅳが重要なんです。
次は、1次試験にはない、2次試験に最も大事なことを説明します。
4.2次試験で最も大事なこと
結論から述べます。論理的思考(ロジカルシンキング)能力です。
さきほど紹介した勉強方法の、3.設問分析を行う。何を問われているのかはっきりするまで、納得するまで。曖昧なままにしない。
このステップが重要だと思います。論理的に物事を考えられる人にとっては、聞かれていることに答えるだけなので、正直簡単なことなのです。
ですが、ロジカルシンキングが苦手な人は、ここでつまづくと思います。なので、曖昧なままにせず、納得するまで考え抜くプロセスが必要なのです。
私には、訓練が必要でした。ただ、ロジカルシンキングは学習したことがあり、普段から論理的に物事を考えるタイプなので、理解は早い方だったのだと思います。
また、記述式の試験に慣れているかどうかという点も当然大きいです。難関国公立大学受験経験者は受験の際に、似たような論述問題を解いてます。大学生でも2次試験に受かる人は、受験の延長で受かっているのだと思います。
その他、論述・記述式の資格試験もあるので、そのような資格試験を受験したことがあると、大きなアドバンテージとなります。
私も大学受験で、国公立前期受験で一橋大学(落ちましたが)、国公立後期受験で東京都立大学(小論文)を受験した経験があったので、論述に慣れていた背景があります。
大学受験の他にも、仕事で簡潔に文章をまとめる機会が多い人、プレゼンの原稿を論理的かつ簡潔に作ることが多い人、などはアドバンテージがあると思います。
ようするに、論理的に物事を考えアウトプットする機会を増やしていくことが重要であり、慣れれば受かることができます。
慣れるまでに個人差はあると思いますが、曖昧な試験の中で、確固たる方向性は見えてきましたね。
私が2年目に、試験終了した瞬間に合格を確信した理由は、「聞かれたことに対し、普通に答えることができた」というシンプルな手応えがあったからです。
一方、これがしっかりできていれば不合格にはなりません。不合格にできないですよね?聞かれたことに答えているので。
以上、2次試験で最も大事なことは論理的思考能力であり、それができれば上位2割には必ず入れます!
ここまでの学習ができれば、「難関」という試験から、上位2割が合格できる比較的容易な試験、という風に捉え方が変わる可能性があります!
5.まとめ
以上です。
ここで身に着けた論理的思考能力・アウトプット方法は、必ず今後も役に立ちます。
このブログも2次試験のアウトプットがあったから、できています(まだまだ訓練段階ですが)。
ぜひ、頑張って下さい!!