約束手形の支払い廃止に関して 2026年廃止を目指すというニュースを見て

 今回は、初の試みで『時事ニュース』を取り上げます。

 今後も、金融関連の記事は積極的に取り上げていきたいと思います。

政府は大企業と中小・小規模事業者の取引適正化のため、26年に親事業者から下請け事業者への約束手形を利用した支払いを廃止する方針を決めた。中小企業庁が2月19日に開いた有識者会議「約束手形をはじめとする支払い条件の改善に向けた検討会」で報告書をまとめた。今夏をめどに、繊維を含めた産業界と金融業界に26年の廃止を見据えた自主行動計画の策定を要請する。

https://senken.co.jp/posts/government-210219 繊研新聞社 より引用

 

 ようやくか、という感想です。

 ただ、このニュースに関して「生産性」の観点から思うことがあり、記事を書きます。

1.そもそも約束手形とは

 そもそも約束手形とは、「手形の振出人(支払人)が、代金の受取人に対して、所定の期日に決められた金額の支払いを約束する証書のこと」です。

 手元に資金が少なくても、支払期日までに資金を準備しておけばよく、かつては多額の資金決済を支え大きな役割を果たしてきました。

 しかしながら、インターネットバンキングの拡大に伴い、取扱高は大きく減少しており、今や古い慣習で残っていると言わざるを得ない状況です。

 2020年の約束手形の交換高は134兆2,534億円で、ピークだった1990年(4,797兆2,906億円)のわずか3%(97.2%減)にまで減少しております。

手形のデメリット

  • 手形要件という満たすべき要件が多い
  • 印紙税が掛かる
  • 管理コストが掛かる
  • 紛失リスク・盗難リスクがある
  • 資金化する際に取立手数料が掛かる

 というデメリットがあり、もうなぜ利用しているのか分からないです。

2.代替手段は?

 資金決済という目的であれば、振込が代替手段として既に存在しております。

 インターネットバンキングの普及で、振込へのシフトが一気に進みました。

 一方、平成25年には電子記録債権(通称:でんさい)のサービスが開始されてます。

 でんさいは、手形以上に便利なことが、手形より低コストかつ安全にできる、と思って頂いて大丈夫です。

 しかしながら、現在までほとんど普及していないのが現実です。

手形交換高と「でんさい額」の構成比は、2013年は手形99.71%、「でんさい」0.29%と手形が圧倒的だった。その後も「でんさい」の伸びは緩やかで、2020年は手形85.86%、「でんさい」14.14%だった。

金額は、2020年の手形交換高が134兆2,534億円に対し、「でんさい」は22兆1,162億円で、約6分の1にとどまる。

https://www.tsr-net.co.jp/news/analysis/20210224_01.html 引用元(株)東京商工リサーチ 

 

3.手形があることで生じている事務コスト

 また、手形があることで生じている事務コストが多くあります。

 例えば、インターネットバンキングによる振込は、ほとんど事務コストが掛かりません。飲食店で例えれば完全セルフサービスで低価格、というイメージです。

 一方、手形は必ず窓口で、取立手数料を払い、手形要件を確認し、不備があれば補完し、手形交換所を経由し、支払銀行へ行く、と多くのステップがあります。

 しかも大半の人は、手形の受け取りなんてしたくない(できれば振込がいい)のです。

 飲食店で例えれば、欲しくもないお通しがいっぱい来ている状態です。

 私も金融機関時代、裏書の印鑑が不鮮明などの理由でお客様のところへ貰いなおしに行ったりしてました。

 それはもう、数えきれないくらいです。

 「要件を確認しないお前が悪い」と言われてましたが、確認しても見逃すことはあるし、

 そもそも、結果はお金が移動するだけのことなのに、何故こんな複雑にやらなきゃいけないのか、と思ってました。

 やめれば効率化できるのに、何かと理由を付けて継続させ、それに付き合わされているのだと感じてました。

 信用金庫では、お客様と店舗の間をバイクで回っている営業の人件費も掛かってますからね(今はどうだか知りませんが)。

 

4.この記事で言いたいこと

 これだけ無駄があり、正直いいことはないです。

 古い慣習に縛られた人や、回顧主義の銀行員は、「手形のここが素晴らしい」みたいことを言うかもしれないですが、全て論破できると思います。

 そんな状態に、おそらく「でんさい」が始まる前からなっていたにも関わらず、今まで引っ張り、更に「2026年を目途に」というパワーワードですね。

 なんでそこまで引っ張るのか分からないです。

 これまで述べてきたよう、多くのコストが掛かってます。

 更にこれから5年間も無くなると分かっているものに、何人もの人を関与させ貴重な大量の時間を奪う。

 こういうことを簡単にやってしまうことが日本の生産性を下げているのだと思います。

 強制的に最後の振出日を決めればいいと思います。

 「そんなことをしたら、こういうリスクが…」などと言う人がいるかもしれないですが、それは5年後でも変わりません。本来なら5年以上前に無くなっているべきなんです。

 既にでんさいという代替手段があるので、そこに導けばよいだけだと思います。

 全体の1%にも満たない例を挙げ、「~だからやめられない」という人もいると思いますが、それは個別対応すべきです。そうすることで、多くの時間が生まれるので。

 「チーズはどこへ消えた?」という名著がありますね。読んだことがある人が多いにも関わらず、実際の現場に生かせないんですよね。

 早く次のチーズを探しに行く、ということをしていかないと、生産性は改善しません。

 以上、感想でした。

 

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