事業再構築補助金 分かりやすく説明 随時更新
現在 第5回公募 に対応
この記事では、『事業再構築補助金』に関するポイントやデータなどをできる限り詳細にまとめていきます。
近年稀に見る規模での補助金事業であり、個人的にはできる限り多くの企業に利用してもらいたいと考えております。
どのようなケースで利用ができるのか、どうやって申請するのか、などできる限り簡単にまとめ、随時更新していきます。
誰にでも分かりやすく、ポイントを絞って解説します。
事業再構築補助金 リンク
目次
1.大多数が申請をする通常枠と金額について
おそらく大半の企業が『通常枠』での申請となります。
それ以外の枠は、一般的な中小企業であれば見る必要はありません。
できる限り情報を絞り、簡素化していきましょう。
ファーストステップとして、GビズIDプライムアカウントを持っていない方は、まず下記リンクから取得しましょう。
必要なものは印鑑証明書のみです。
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第3回公募より従業員数により上限金額が変わりました。
補助率は3分の2だと思っていて大丈夫です(6,000万円を超える場合、超えた分は2分の1になる)。
従業員20人以下の場合は、社運を賭けた1億円の工場・機械への投資に対して最大でも4,000万円しか補助しないという、日本の大部分を占める小規模事業者にとっては劣化版となってしまった感は否めないですね。
ただ、よほど大きな投資でなければ、これまでとほぼ変わらないと考えていて大丈夫です。
他にも、緊急事態宣言特別枠・最低賃金枠というものがあり、金額上限は低いものの採択率が高いという枠もあります。
補助率も4分の3と大きく、少額の投資でありかつ条件を満たしていれば、これらの枠を使うと非常に通り安くなります。
細かい要件はありますが、ざっくり「緊急事態宣言の影響で売上が減少」(緊急事態宣言特別枠)、「最低賃金プラス30円以内で雇用している従業員がいる」(最低賃金枠)、という場合に使える可能性があります。
次は補助金額と対象経費について見ていきましょう。
補助金額例
- 3,000万円の事業であれば3分の2の2,000万円が補助される
(通常枠 3分の2の補助のケース)
次に、対象経費について考えます。3,000万円の経費全てが補助対象となる場合は、上記のように2,000万円が補助されます。
しかし、補助対象とならない経費もあります。
例えば、3,000万円の事業のうち、600万円が対象外の場合は、2,400万円に対する3分の2である1,600万円が補助されます。
この対象経費が非常に重要です。対象経費を見ていきましょう。
対象となる経費
- 建物
- 機械装置
- システム構築
- 広告宣伝
大まかにこのような形となっております。
付随する専門家経費や、外注費なども該当しますが、あくまでこのように覚えておくと間違いありません。
では対象とならないものを見ていきましょう。
対象とならない経費
- ランニングコスト(家賃・光熱費等・人件費等)
- 土地の購入費
- 商品仕入・車・PC・家財等の購入費
- 事業再構築補助金の事業計画書支援等に対する費用
他にも細かく分かれておりますが、大まかにこのような形になってます。
まず、土地を購入することは不可能です。
そして、ランニングコストは補助対象外です。
さらに、仕入や車両なども不可です。これは、考えてみれば当然で、流動性の高いものに3分の2の補助をすると、原価割れで販売しても儲けが出てしまいますからね。
例えば3,000万円分の中古車を購入し、2,000万円補助金が出てしまうと、1,500万円で販売しても利益が出ますからね。
すぐに、販売(最悪の場合転売)して原価割れで利益が出てしまうようなことは、当然できない仕組みになってます。
まずは、ここまでの『GビズID』と通常枠の『補助金額』『補助率』『補助対象経費』を抑えておきましょう。
2.事業再構築 要件について
次は要件に関してです。ここも簡素化していきます。
抑えておく4つの類型
- ①新分野展開
- ②事業転換
- ③業種転換
- ④業態転換
この4つを抑えておけば大丈夫です。
そして細かい要件はさておき、重要なのは『今の事業』と大きく異なることをやり、それなりに事業が成長する見込みがある、ということです。
この、「大きく異なるの基準」ですが、全く別のことをやらなければならないのかというと、そうでもありません。
詳細は「4つの類型」のみをピックアップした記事がありますので、そちらを参考にして頂けると分かりやすいと思います。
例えば、「車の部品を製造している会社が、医療用器具の部品を製造する」というケースも該当します。
4つの類型や、マーケティングに関しては以下の記事を参考にしてください。
合わせて読みたい記事
新製品(商品・サービス)については、以前は「過去に取り扱ったことがない」という要件でしたが、第3回公募では「コロナ前に扱ったことがない」という風になりました。
コロナ後に取り組みを始めた事業で、成長が見込めるものも対象となるということですね。
意外と対象範囲は広く設定されているので、「こんなケースも該当するの?」という疑問があったら、ぜひお問合せをしてみて下さい。
そして、要件については以下の通りです。
要件
- コロナの影響で売上が10%以上減少している(第3回公募より付加価値額でもOKとなった)
- 新事業開始後の3~5年の事業計画で付加価値が向上すること
要するに過去要件は、コロナの影響で売上が減少していること。
未来の要件は、この取組により『付加価値』が創造されること。
もっと簡略化すると、「業況が悪くなったから、新しい事業を始めて、その新しい事業で良くなる見込みです」ということが示せれば大丈夫です。
事業計画を作成してみると分かりますが、「付加価値要件」は普通に事業計画を作成すれば、クリアできる要件です。
3.事業計画書について
提出する書類は全部で5つ、うち最も重要な事業計画書について説明します。
提出書類一覧
- ①事業計画書
- ②認定経営革新等支援機関・金融機関による確認書
- ③売上減少を示す書類(又は付加価値額減少)
- ④決算書2期分
- ⑤ミラサポplus「電子申請サポート」の事業財務情報
- ⑥労働者名簿(第3回公募より必須に)
事業計画書のポイント
- 現状分析(SWOT分析)
- 補助金の必要性、使い道、スケジュール
- 補助事業のマーケティング調査
- 収益計画
SWOT分析のやり方についてはこちらの記事で紹介
この事業計画書の作成がポイントです。
採択に至った事業計画書が公表されており、見て頂くと分かる通り、作成難易度は高いと考えられます。
公募要領の審査項目・加点項目をしっかり理解し、それを個社別に10~15ページにまとめるという作業は、非常に時間がかかります。
なので、多くの方が事業計画書作成を専門家に任せると思います。
私も作成してみて思いましたが、専門家に任せた方が良いです。
インターネットで調べると、「テンプレ」や「ツール」が販売されているケースもありますが、個人的にはお勧めしません。
結局テンプレを自分で埋めることができれば、事業計画の作成に苦労しません。
テンプレを埋めること自体が難しく、重要なのはスタート(現状)からゴール(理想)までの道筋を、論理的に分かりやすく、できる限りデータを収集して、無駄を省いてシンプルに、作成することが重要なのです。
専門家に頼んだ方が、最終的に今自社で把握できていない課題や、その課題解決策の発見にも繋がります。
事業計画書作成の段階で、マーケティング調査もしっかりやってもらいましょう。
そもそも事業が成立するのかどうか、事業をできるだけのリソース(経営資源)が確保できるのかどうか、など事前の課題をしっかり認識し、できる限り課題解決策を具体化し、事業に向かっていきましょう。
どうしても事業化が困難であれば、ここで撤退するのも非常に重要な経営判断です。
では、専門家を選ぶ基準について個人的な見解を示します。
専門家を選ぶ基準
- 適正価格である
- アフターフォローをしっかりやってくれるかどうか
- 面談した際に、こちらの言いたいことをしっかり言語化して説明できているかどうか
こんな感じです。
正直、金額は誰を選んでもそれなりに掛かります。
一般的に、成功報酬は10%以内(かつ上限設定がある)が大半なので、選ぶ基準としましょう。
補助金は採択された後が非常に重要です。
アフターフォローまでしっかりやってくれる専門家を選びましょう。
あとは、相性ですね。
言いたいことをしっかり汲み取ってくれている人を選びましょう。
ちなみに私は成功報酬5~10%(上限あり)、着手金は応相談という形(詳しい条件はこちら)でやっております。
4.事業計画書のポイント
事業再構築補助金事務局のYouTubeチャンネルより、事業計画書のポイントの説明がされてます。
長い動画なので、ざっくりまとめました。
まず、この動画では収益計画の売上根拠をしっかり示すこと、が必要であると説明してます。
当たり前ですが、マーケティング調査が甘い・もしくはほとんどしていない計画書が多かったみたいですね。
他には、成功報酬で20%取るケースが散見されているという話がありました。
否定はしませんが、申請する側もよく調べましょう。
さすがに事務局が言っているように、2~3%でやっている専門家はほとんど見かけませんが、適正な相場というものはあります。
次の動画です。
こちらの動画では、『現状・理想(あるべき姿)・問題(ギャップ)・課題』を整理して書きましょう、という話でした。
これも当たり前なんですが、できていない申請書が多かったみたいですね。
要求されていることは非常に多いので、マーケティングの知識や財務会計の知識も備えており、求められている事業計画書を作るのが得意と言える専門家(例えば中小企業診断士)と一緒に作成していきましょう。
このような重要なポイントをしっかり抑え、事業計画を作成していくことが必要です。
5.第1回公募結果について
全5回予定のうち、1回目の公募結果が発表されました。
詳細な結果はこちらから
一部を引用させて頂きます。
採択率は41.66%(不備を除いたもの)となっており、5件に2件は採択されるという形です。
金額については、金額が大きいと通りづらいということはありません。
ちなみに、銀行・税理士・診断士別の申請件数と採択件数の内訳もありますが、中小企業診断士が作成した事業計画を銀行が上げていることも多くあり、あまりデータとして重要そうではないので、省略しております。
1回目で話題になったのは、フルーツサンドの案件です。
興味がある方は調べてみて下さい。
6.第2回公募結果について
2回目の採択結果はこちらです。
詳細な結果はこちら
一部を引用いたします。
応募総数は約2,000件減少しております。
1回目で不採択となった企業に加え、2回目で新たに申請をする企業が存在するはずなので、増加してほしいものですが…。
全体の採択率を見ると、41.66%から50.92%へ上昇しております(採択件数÷不備のない申請件数)。
中小企業等の通常枠のみで見ると、34.44%→40.74%と、こちらも上昇しております。
約4割が採択されると考えると、チャレンジを検討している企業は、ぜひ取り組むべきだと思います。
金額については、前回同様、金額の大・小で採択率が大きく変わることはありません(ただし特別枠の採択率は高い)。
また、金額については20名以下の企業の補助額上限が、これまでの6,000万円から第3回公募で4,000万円に減額となったことから、何らかの意図があるのかもしれません。
できれば、1社あたり上限を下げ、採択率を上げる方向に働いて欲しいですね。
第3回公募以降も、同じページでデータが出ておりますので、参考にしてみて下さい。
7.不採択理由と対応策
不採択となった理由を、事務局に問い合わせることで教えてもらえます。
一度の不採択でも諦めずに、理由を聴き、修正を加え再チャレンジしていきましょう。
2回・3回とチャレンジすれば、採択率(期待値)は上昇します。
ただし、『そもそも要件を満たしていない』など対策のしようがない理由もあります。
ここではネット上で拾えた情報をまとめ、対応策を考えていきたいと思います。
ケース①事業計画の実現根拠が薄い
事業自体は納得性が高いが、リソース面で実現性が難しいケースがあります。
つまり、事業としては面白そうだしうまくいく可能性があるけど、それをやる体制が整っているのか?
ということです。このケースは、しっかりSWOT分析を行い、生かすべき強みや克服するべき弱みをしっかりと書くことが必要です。
リソース(ヒト・モノ・カネ)面をしっかり提示しましょう。
次は、事業自体の納得性が低いというケースです。
これは、簡単に言うと「本当にこんなに売れるの?」というものですね。
近隣の競合状況・競合と比べて自社の何が優位性となるのか、など数値の根拠となるものをしっかり示しましょうということです。
ターゲットが近隣住民である場合は、近隣の商圏となる人口動態を調べますし、観光客であればここ数年の観光客数などを調べたりします。
ようするに、外部環境分析・マーケット調査をしっかりやりましょうということです。
ケース②資金調達計画が不明瞭
補助金は、掛かったものに対して支払われます。つまり、一時的に立替が必要となります。例えば、6,000万円の建物を建てて、補助金を4,000万円受け取る場合、一旦6,000万円を立て替えて支払う必要があります。
その場合、6,000万円をどのように調達するのかということを書きます。
金融機関は将来の融資を約束することは絶対にしません。
ですので、資金計画は「メインバンクである〇〇銀行から資金調達をする予定」と書いておき、そのメインバンクが認定機関となっていれば、それなりの信憑性が生まれます。
つまり、融資が必要な場合はメインバンクに認定機関を兼務してもらうとよいと思います。
ケース③債務超過である(財務面に不安がある)
補助金は税金です。財務が脆弱である場合、いかに優れた計画書でも遂行能力に疑問符が付いてしまいます。
そのような会社に対して税金である補助金を投下するのは、当然足踏みしてしまいます。
この場合は、資金繰り面なども記載した数値計画を立案すると良いのかもしれません。
キャッシュフロー、借入金返済計画、債務超過解消までの計画など、数値計画を具体的に作ると良いと思います。
また、表面上債務超過ですが、実際はそうでないというケースも多々あります。
提出するのは決算報告書のみで、内訳明細は添付しません。
もし、役員借入金が長期借入金として一緒に計上されている場合、借入過多の債務超過の会社と見られてしまう可能性があります。
もし、役員借入金が大半であれば、補記しておくと良いかもしれません(金融機関は役員借入金を自己資本とみなします)。
例えば長期借入金1億円、自己資本▲2千万円という決算書を見ると不安になってしまいますが、長期借入金1億円(内5千万円は役員借入金)という補記があるだけで、ものすごく安心感が出ます。
ケース④加点項目・審査項目を意識する(書き方)
事務局に問い合わせると、「書いてありますけど」ということを突っ込まれることもあります。
事業計画を作成する方は何十時間と掛かりますが、見る方は1時間もかけないと思います(予想)。
なので、審査する人の目線に立って、審査項目・加点項目が分かりやすい作りにすると、印象が良くなると考えられます。
最後に
この記事は随時情報が更新されるたびに手を加えていきます。
できる限り、誰が見ても分かりやすいように書いていきます。
事業計画書についても、今後可能な限り作成例などを提示していきたいと思います。