本紹介⑦シン・二ホン AI×データ時代における日本の再生と人材育成
今回の本紹介は、『シン・ニホン』 AI×データ時代における日本の再生と人材育成です。
◎読者が選ぶビジネス書グランプリ2021 総合グランプリ受賞!!
◎ビジネス書大賞2020 特別賞(ソーシャルデザイン部門)受賞!!
◎ITエンジニア本大賞2021 ビジネス書部門 ベスト10!
◎累計15万部突破!
と、近年のビジネス書の中では最も話題になった1冊であります。
筆者は安宅和人さんです。簡単なプロフィールの抜粋です。
『データサイエンティスト協会理事。東京大学大学院生物化学専攻にて修士課程終了後、マッキンゼー入社。4年半の勤務後、イェール大学脳神経科学プログラムに入学。2001年春、学位取得(Ph.D.)。ポスドクを経て2001年末マッキンゼー復帰に伴い帰国。マーケティング研究グループのアジア太平洋地域中心メンバーの一人として幅広い商品・事業開発、ブランド再生に関わる。2008年よりヤフー。2012年7月よりCSO(現兼務)。全社横断的な戦略課題の解決、事業開発に加え、途中データ及び研究開発部門も統括。2016年春より慶応義塾大学SFCにてデータドリブン時代の基礎教養について教える。2018年9月より現職。内閣府 人間中心のAI社会原則検討会議 構成員、官民研究開発投資拡大プログラム (PRISM) 運営委員、経団連 未来社会協創TF委員なども務める。』
はい、天才です。
マッキンゼー出身ということもあり、徹底的にデータを分析し課題解決手段を提示しております。
日本はどうするべきか?という視点をメインに要約をします。
他の本紹介にご興味のある方は「まとめ記事」を参考にしてください
目次
1.日本の現状を確認
まず、日本の現状を確認します。
主要先進国の中で、完全に一人負けの状況です。
一人あたりGDPランキング(順位)は1960年ごろの水準の順位まで下がり、労働時間が長い・最低賃金が低い・生産性が低い・女性の社会進出が進まないという状況であります。
貧困の拡大が進み、もはや途上国(あるいは中進国)レベルといっても過言ではないとのこと。
教育のレベルも衰退しており、2019年時点で東京大学ですらアジア6位、世界42位という状況であります。
学校教育だけでなく、企業においても人材投資をしていないことが明らかであり、本来人材投資にまわすべき資金は残業代にまわっていると考えられます。
エンジニアや専門家が足りておらず、日本の若者は持つべき武器を持たずに戦場に出ていっている状況であります。
世の中は、データ×AIの世界となっており、日本はすでについていけておりません。
データ×AIの世界では全ての変化が指数関数的に起きてます。
これまでは「スケール」を取り、大きな売上、付加価値、そして利益を生めば企業価値につながるのが、富を生む基本方程式だった。しかし、この非連続的な変化に富む局面では、そもそも「未来を変えている感」が企業価値になり、これをテコに投資し、最終的に付加価値、そして利益につながるという真逆の流れになった。
本文より引用
このような変化をしており、この本が発売されたときには「テスラがGMの時価総額を抜いた」と書かれておりますが、この記事を書いている現在では、テスラはトヨタの時価総額も抜いてます。
つまり、簡単に言うと、日本は世界の変化についていけておらず、もはや「オワコン」化しており、高い企業価値を持つ企業も生まれず、どんどん貧困化が進んでいる、という状況です。
このあたりは、過去の記事でも多くふれてますね。
一人当たりGDPが低い、生産性が低いという問題は、どのビジネス書を読んでも大体共通の問題として書かれてます。
2.日本に勝ち筋はあるのか
このような状況の中で、日本に勝ち筋はあるのか。
結論から言うと、厳しいです。
本書では、多くのデータを分析した上で、まさにデータドリブンの解決策が提示されているのですが、確かにその通りにできれば勝ち筋が見えてきます。
しかし、その通りに進むのが極めて難しいと思います。
では、どのような解決策があるのか、一部抜粋します。
国のマネジメントとしてやるべきこと
- 0.あるべき姿を見極め、設定する
- 1.いい仕事をする
- 2.いい人を採って、いい人を育て、維持する
- 3.以上の実現のためにリソースを適切に配分し運用する
この中で、課題は2と3であります。
まずは『2.いい人を採って、いい人を育て、維持する』についてです。
これから必要な人は「異人」であり、その「異人」とは少なくとも今の会社人間ではありません。
この「異人」を生み出していくため、昨今さけばれている「データエンジニア力」だけでなく、「データサイエンス力」・「ビジネス力」が必要であります。
そのためには、「マシンとして育成をする画一的な教育」をやめ、考える技術、書く技術、ロジカルシンキング、数学、外国語などを学ぶことが重要であります。
それにより、「スポンジ力」(知識を吸収する力)より「きづく力」(知識が異なる何かとつながる)を付けていくことが重要です。
なぜなら、本物の課題解決にAIは無力(意味理解を行う「知覚」ができず、「意志」がないという点)で、本物の課題解決をできる力を身に付ける必要があるからです。
これが、いい人を作る過程である『教育』についてです。
どうでしょう?
ここで何を思うかは人それぞれだと思います。
こういう風に世の中が変わるといいな、と思う人もいると思います。
しかし、このような人任せな考えでは、さらに置いていかれてしまうと思います。
私は、方向性が見えているなら、今すぐに自分が変わるべきだと思います。
つまり、・ロジカルシンキング・外国語・データエンジニア力(プログラミングなど)・ビジネス力(経営力)・データサイエンス力(数学)が必要なら、今すぐ学び、学ばせます。
このような教育を、学校など人任せにするのではなく、自身も学び、若者にも学ばせることができれば、変化していくことが可能であると思います。
3.教育について リソース配分
さらに教育について掘り下げていきます。
日本では他国に比べ教育にかけるお金が全く足りていません。
大学教員の給与水準が30年以上ほとんど一緒であり、ブラックなので良い人材も集まりません。
学生の奨学金システムも他国に比べとにかく劣っており、基金・寄付のシステムも確立されておりません。
このような教育現場であることから、どんどんと格差が広がっていきます。
では、どのように解決するのか?
それは、リソース配分を変えることです。
つまり、年寄りから教育・若者へ、リソース配分を変えることです。
これが可能なのかどうかは、本に詳細に書いてあります。
非常に多くのデータを天才が分析しているので、一見の価値ありです。
個人的な見解ですが、ここが非常に難しいと思ってしまいます。
というのも、『老害』(本では「じゃまおじ」と書いてました)が権力を持つ国だからです。
この『害』というのは、教育・若者へのリソース配分を阻害するという意味で使用します。
高齢者が大多数となってしまっているので、多数決では若者は勝てません。
本でも言ってましたが、『高齢者』という区分自体をなくしてしまうことが最も良いと思います。
『若者』の問題と、『高齢者』の問題、と分けてしまうと、多数派の高齢者が優遇されてしまいます。
社会全ての共通の課題を解決するために、リソース配分を変えましょうという風に考えが変われば、大丈夫だと思います。
やはり、地道に価値観を変化させるために発信し続けていく必要がありますね。
4.まとめ
以上です。本書は、多くのデータが示されており、今回は「教育」メインでの要約をしてます。
教育1つを取っても、理想を実現するには大きな労力と時間を要すると思います。
では、どうすればその時間を短縮できるのか?
それは、私たちが「あるべき姿」をまず認識することです。
今のままで日本が良くなることはないです。
それは分かっていると思います。
では、どうするべきか、というのを認識することです。
そして、課題解決のために、個人レベルでできることをひたすらやっていくことです。
結論としては、まず「勉強」です。これに尽きますね。
次に「発信」だと思います。
価値観の変化はなかなか起こせません。
多くの情報に触れることが必要です。
正しい情報・あるべき姿の情報を発信し続けること、これが重要だと思います。
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この2冊は、シン・二ホン本文中でも紹介されておりました。ぜひ読んでみてください。