年功序列型・業績連動型、メンバーシップ型・ジョブ型について思うこと

 さて、先日このようなニュースが出ました。

三菱UFJ銀行は2022年春の新卒採用の一部に、能力に応じて給与が決まる仕組みを導入する。デジタル技術などの専門人材が対象で年収は大卒1年目から1000万円以上になる可能性がある。一律300万円程度としてきた体系を改め、IT(情報技術)企業や外資系に流れていた人材を取り込む。横並びの意識が強かった銀行も人事・賃金制度の改革を競う時代に入る。

日本経済新聞 https://www.nikkei.com/article/DGXZQODF1214L0S1A310C2000000/ 

 これは、いわゆる「ジョブ型雇用」と言われるものです。

 本日は、これまでの給与体系や雇用体系についてをもう一度考え、今後の雇用のあるべき姿を考えてみたいと思います。

 ちなみに、中小企業診断士試験ではこのような「評価、報酬、モチベーション」なども学びます。

 興味ある人は、ぜひ試験にチャレンジしてみましょう。

1.年功序列型賃金とは

 年功序列型賃金とは、従来の日本の一般的な賃金制度です。

 メリット・デメリットは以下の通りです。

メリット

  • 長期的な視点での社員教育が可能
  • 会社に合った人材を育成しやすい
  • 離職率が低下する

デメリット

  • 人事評価の納得性が低い
  • 労働意欲が低下するおそれがある
  • チャレンジ精神の低下
  • 人件費が高騰する

 かつての高度経済成長期は、まさにメリットが前面に出た形で、日本の成長を支えてきました。

 特に、会社への帰属意識を高めるというメリットは大きく、あえて年功序列型賃金を継続する理由ともなり得ます。

 しかし、近年はデメリットの方が大きく作用しています。

 労働単価が高く生産性の低い人材の集中、変化の早い時代の中でチャレンジ精神が醸成されない、などです。

 結論を言うと、この賃金制度はもう破綻してます。

 これは私の独断ではなく、実際に経団連の会長が2020年にそのように発言しております。

 個人的には、評価の納得性が低いというデメリットも大きいと思います。

 年を取るだけで給与が上がるという訳の分からない制度はもちろん、

 上が下を評価する、というシステムの中で、ただ役職が高い(無能な)人に評価されることもあるからです。

 モチベーション理論、評価エラー、公平性・納得性など最低限の評価者訓練も行われていない、明らかに学習不足の上司に評価をされてしまうこともあり得ます。

 そこで、業績連動型賃金が台頭をしてきました。

2.業績連動型賃金とは

 これは、いわゆる成果主義です。実は広く普及しており、中小企業では成果主義を導入している割合が高いと白書に記載されております。

 メリット・デメリットは以下の通りです。

メリット

  • 仕事に対する意欲の向上
  • 評価への納得性が高まる
  • 総人件費がコントロールできる(変動費化)

 

デメリット

  • 短期的な成果を重要視し、長期的視点が失われる
  • 利益にならない仕事が軽視される
  • 個人主義になる

 以上です。

 実際の運用では、年功型を基本とし、一部(賞与など)を業績連動型とする運用が多いです。

 そこに、コンピテンシー評価、目標管理制度(MBO)などがトレンドとなり、どんどん形だけ採用されていきます。

 業績部分の割合が低く、根底に年功型が残っている場合は、結局は年功型のデメリットが大きくなります。

3.メンバーシップ型とジョブ型雇用という考え方

 そして、最近はよく「ジョブ型雇用」という言葉を聞くようになったと思います。

 これの対比となるのが「メンバーシップ型雇用」であり、従来の年功序列型の雇用と考えてもらって大丈夫です。

 「ジョブ型」とは、簡単にいうと、仕事に対して給与を払うということです。

 ここで、冒頭の三菱UFJが新卒を1,000万円で雇用するというニュースに繋がります。

 ようするに、デジタル人材=ジョブ型ということです。

 それだけデジタル人材は貴重であり、中途で雇うとより高コストとなるので、1,000万円で青田買いしようということです。

 

 考えてみると当たり前です。

 その組織にどれだけ長くいようと、AIに代替できる・簡素化しアウトソーシングできる業務のスキルは、言葉は悪いですが無価値です。

 一方で、AIに代替できない仕事を中心とした仕事、またそのような仕事をできるスキル・資格保持者は、例え若くとも好待遇されるべきです。

 当然、デメリットもあります。

 組織への帰属意識は低くなります。

 イメージとしては、これまでは「あなたの仕事はなんですか?」と聞かれたら

 「〇〇(会社名)に勤めてます」です。

 ジョブ型は、「エンジニアです」や「マーケターです」になります。

 これからの時代、どちらが主流になるでしょうか?

 後者ですよね。転職も当たり前になります。

 既に年功序列型は崩壊し、崩壊していないなら崩壊させるべきであり、速やかにジョブ型へ移行すべきです。

 ジョブ型への反論としては、本当にびっくりするのですが、「給料が上がらないので貧困になる」というものです。

 いや、努力しましょう。

 スキルを身に付ければ身に付けるほど、人的資本が向上し、給料が上がるのです。

 今の年を取ったら給料が上がる仕組みよりよっぽど納得性は高いです。

4.ジョブ型への移行をじゃましないでください

 最後に、私の切実な願いです。

 まず冒頭のニュースを見て、普通の神経なら「当たり前」と思います。

 自分の会社に、新卒でデジタル人材が、誰よりも好待遇で入ってきても、喜ぶべきです。

 しかし、そうじゃない人が多くいるのが事実です。

 スキルも何もなく、年齢とプライドだけが高く、なぜか権力も持っている人が、「NO」という会社が現実的に多いと思います。

 だから、当たり前のことがニュースになるんだと思います。

 何も新卒を1,000万円で雇う必要はないので、「スペシャル」な人材を作るために経営資源を投下し、「希少な人材」となった際には勤務年数、忖度などなしに、市場価値に合わせた給与を支払いましょうということです。

 それができなければ、優秀な人材は流出します。

 給与の原資は「スキルのない・生産性の低い・年だけは高い」人たちから分けてもらえばよいと思います。

 今後は、このような考えを浸透させ、「自分自身の市場価値」を意識する時代です。

 そして自分に適したスキルを徹底的に磨き上げていくこと、そのスキルが2つ・3つの増えることで唯一無二の存在となれます。

 そしてもう1つ。

 ジョブ型になれば、「評価」の割合は下がると思います。

 私は、そもそもこの「他人が他人を評価する」という仕組みが好きではありませんでした。

 まず会社内で「こういう人材であるべきだ」というものがあると、多様性(ダイバーシティ)の否定になります。

 評価者は完全に客観的になることも無理です。人間ですから。

 そして、評価をする人が勉強をしてくれないのは、本当に困ります。

 また言葉は悪くなりますが、無能に評価されることは、耐え難い苦痛です。

 私も、人の評価はしたくありませんでした。どうしてもしなければいけないのなら、

 徹底的にコミュニケーションを取り、良いところも悪いところも日々伝え、評価に納得性を持たせるようにしてました。

 それでも100%納得してもらえることはないと思います。

 そういった面でも、「ジョブ」で給与が決まるというのは、客観的にみて納得性が高いのでよいと思います。

 この流れを当たり前のものと思い、日本の競争力を高めていきましょう!

 まぁ、国として競争力を高めるのは困難だと思うので、せめて個々人だけでも。

 ということで、副業に関する記事もぜひ読んで下さい。

合わせて読みたい記事

副業をすべき理由

日本経済の将来性を鑑み、副業の必要性を書いた記事です

コメントを残す

メールアドレスが公開されることはありません。

CAPTCHA