令和2年度 中小企業診断士試験 2次試験 合格者の再現答案 事例Ⅲ
中小企業診断士試験の2次試験、再現答案です。
今回は事例Ⅲの再現答案+解説を書いていきます。
私は、令和2年度の2次試験を
- 事例Ⅰ 75点
- 事例Ⅱ 67点
- 事例Ⅲ 68点
- 事例Ⅳ 67点
- 計 277点
で合格しました。
自信が独学で勉強している際に、最も欲しかった情報が「合格者のリアルな答案」でした。
今回は68点答案です。
80分という限られた時間の中で、たどり着くべきラインの目安として、参考にしていただければ幸いです。
また、今回は実際に「試験当日に使用した問題用紙」の写真を載せてみます。
最後に、YouTube動画も添付してあります。より詳細に解説してますので、ぜひ参考にして下さい。
中小企業診断士試験にご興味のある方は「まとめ記事」を参考にしてください
目次
第1問
【解答】
強み:高い仕上げ品質を実現する溶接技術や研磨技術と、設計・製作・据付までの一貫生産体制。
弱み:売上全体の40%を占めるモニュメント製品の受注量変動が大きい点、納期遅延がある点。
少し悩んだ問題です。全体のストーリー構成を、
「現状の強みを生かして、弱み・脅威を乗り越えて、機会を捉えて、成長する。」
とした場合、「モニュメント製品の製作依頼増加」や「付加価値が高い」というのは、機会であると考えました。
実際に問4は、どのようにして機会を得るかという問題になってます。
技術や生産体制の強みを生かし、納期遅延のある生産体制を改善し高付加価値製品の受注量を安定させ、成長機会を捉える。
というストーリー構成にするため、この強みと弱みを答えました。
配点も10点ずつなので、あとあとの回答との一貫性を持たせることを重視しました。
第2問 設問1
【解答】
問題点:①顧客承認に至る製作前プロセスに時間を要している点、②高度な加工技術を要する受注等で生産計画を超える点、にて納期遅延発生。
対応策:対応策は、①顧客との摺合わせと同時に製造部との技術的な打ち合わせを共有すること、②3DCADの導入、により時間短縮を図る。
ちょっと、答えづらい問題です。私は、以下のようなことを考えました。
「営業部門」の問題点は、顧客との摺合わせ時間が掛かってしまい(特に高度な加工技術を要する受注)、生産計画通りに進まず、納期遅延を起こしてしまっていること。
その対応策は、顧客との摺合わせだけでなく、製造部との技術的な打ち合わせも並行し、3者で共有すること。その具体的方法として3DCADを導入する。これにより、製作前プロセスの時間短縮を図ること。
問題点=納期遅延 対応策=具体策→効果
これをはっきりさせる解答づくりを意識しました。
字数制限が厳しく、多少無理やり詰め込んでいますが、採点者に「伝わってくれ」と思い、これ以上修正を加えませんでした。
第2問 設問2
【解答】
問題点:①作業チームの技術力に差がある点、②基準となる工程順序や工数見積の標準化がされていない点、③作業者の不稼働の時間が多い点。
対応策:対応策は、①チーム技術力を平準化する適正配置、②製品の工程順序・工数見積の標準化、③SLP、5Sの徹底を行い、稼働率を高める。
問題点を「稼働率の低さ」と設定し、その原因となっているものを、①~③という形で列挙しました。
対応策=具体策→効果 を意識し、稼働率を高める方策を書きました。
この問題も字数制限の厳しさから、多少無理して詰め込んでます。
ただ、設問1と同様、「論理的に」「聞かれたことには答えている」という答案作りを意識しました。
第3問
【解答】IT活用は、①受注案件を全社で一元管理し共有、②仕様変更や図面変更をリアルタイムで共有し、技術的助言を実施する、③標準化した工数見積等で精緻な生産計画を立案、④納期重視で生産統制を行い進捗等を共有できるようにする、以上で短納期を実現する。
これまでの問1や問2を意識しました。
社内IT化は納期遅延対策であるという制約条件から、これまでの問で答えてきた「納期遅延の原因」となっていることを解消させるものでないとなりません。
よって、社内での摺合わせ・共有、リアルタイムでの技術的助言、緻密の生産計画、生産統制、進捗共有、などをIT活用によって実現する、というロジックで答えました。
とにかく意識したのは、これまでの問との整合性と、C社に対する提案の一貫性です。
第4問
【解答】①溶接技術や研磨技術をOJT等を通じて更に強化し、②部門間連携を強化し一貫生産体制を強化することで、より差別化を図り、短納期を訴求し高付加価値化を実現する。IT化を進め技術的打ち合わせの質も高め、販路を海外まで拡大させ、受注の平準化を図る。
まずは、事例Ⅲのパターンである「強みを更に強化し、差別化・高付加価値化を図る」ということを書きました。さんざん答えてきた短納期も、実現できれば訴求できる強みとなります。
また、第3問で答えたIT化が実現できれば、弱みを打ち消し、機会を捉えることができます。
その機会を、「増加しているモニュメント製品の製作依頼」としてます。
また、「どのように拡大をするのか」も問われているので、「海外展開」を入れてます。
思考パターンを見ていただければ分かるよう、とにかく整合性や一貫性を意識してます。
最後に問1~問4を見た時に、違和感がない答案作りを、普段から意識するとよいと思います。
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参考①:試験当日の問題用紙
参考までに試験当日の問題用紙を添付します。
「与件文を読む際のルール作り」については、→ こちら で詳細に説明してます。
まず、1~3枚目が与件文で、ルール通りにマーカーを引き、視覚的に「強み」「弱み」の把握ができるようにしてます。
4枚目が問題文です。問題分もしっかりと「制約条件」「問われていること」「重要な点(助言・理由など)」が分かるようマーカーを引き、「漏れ」や「脱線」を防ぐようにしてます。
5枚目が、この事例Ⅲで私が書いたメモです。これだけです。80分の時間の中で、メモを書く時間を削ってます。また、答案の下書きも一切してません。
6枚目が、全て解いたあとに、再現答案を作るために取ったメモです。よって、この再現答案は再現率100%です。字の汚さは…自分が読めればいいです(笑)。解答用紙には綺麗な字で書いてます。