本紹介④ストーリーとしての競争戦略 優れた戦略の条件 戦略入門書にして至高の1冊

 今回の本紹介は、ストーリーとしての競争戦略 優れた戦略の条件(著者:楠木建)です。

 2010年に発売された本ですが、今でも違和感無く(若干ありますが)読める本です。

 私は、Kindleで無料で読める機会があったので読んだのですが、非常に面白かったので紹介します。

 ちなみに、Kindle(や、その他サブスクで本が読めるサービス)に加入してない方は、加入をおすすめします。

 私は、去年だけで流し読みした本も含めれば、100冊以上は無料で読んでます(色々なhow to本など、通常なら1冊と数えないような本も含めて)。

 この本も、買ったら3,000円を超えてしまいますが、そんな素晴らしい本も無料で読めますのでぜひ。

 全体を通して、それほど難しい話はなく、非常に読みやすい本です。

 戦略の入門書としてもおすすめできる1冊でもあり、かつコンサルタントや経営者も読むべき至高の1冊です。

 一般的なフレームワークの話も出てくるので、疑問点があれば調べて読んでいくことで、読み終わるころにはそれなりに戦略論が分かるようになってると思います。

 私のブログを読んでいただいている方は、金融機関の方も多いと思います。

 金融機関の方は絶対に読まなきゃだめです(笑)。

他の本紹介にご興味のある方は「まとめ記事」を参考にしてください

 

1.ストーリーとは?

 まず、本書の結論は

 「戦略はストーリである」です。そのままですね。

 戦略の本質は、「違いをつくって、つなげる」であり、この「つなげる」がストーリーです。

 現実での戦略は静止画のアクションリストにとどまることがほとんどです。

 テンプレートや、フレームワーク、ベストプラクティスなど、これらを組み合わせてアクションリストは作るものの、その結果どうなるのか、ということが曖昧なケースが多々あります。

 要するに、「現在地」「あるべき姿」はよく分析されているが、そこへ行きつくための道(ストーリー)が示されていないことが多いということです。

 地域金融機関で例えると、「地域活性化」というあるべき姿、「融資をする」という現在地があります。

 融資をすることが地域活性化に繋がる、そのストーリーが語られるべきなのですが、現実的にはターゲット・商品・価格(金利)・競合などの個別要素だけが語られ、本来の目的があやふやになってしまうような状況が多々あるということです。

 この「ストーリー」を重視していれば、融資は手段の1つとして戦略を練ることができますが、手段が目的化してしまうのです。

 次章で、実際の具体例で考えてみましょう。

2.スターバックスのストーリー

 本書では、様々な企業のストーリー戦略が紹介されています。

 マブチモーター、サウスウェスト航空、アスクル、ガリバー、ベネッセ、アマゾンなどです。

 中でも、「スターバックス」のストーリーについては身近で理解しやすいと思うので、紹介します。

 

スターバックスのストーリー

  • 【最終的な競争優位】WTP(顧客が支払いたいと思う水準)の増大
  • 【コンセプト】コーヒーを売るのではなく、「第3の場所」を提供する。コーヒーは手段

コンセプトを構成する要素

  • 店舗の雰囲気:照明・ソファなどのレイアウト
  • プレミアム立地(1等地への出店)
  • 1等地への集中出店
  • 直営店のみのオペレーション
  • 人の教育(バリスタ)
  • メニュー(フードの提供はしない)

 以上がスターバックスのストーリーです。

 「第3の場所」を提供する(第1は自宅、第2はオフィス)というコンセプトのもと、コーヒーの販売はあくまで手段です。

 「第3の場所」というストーリーがあるので、それに基づいた店舗作り、フードはやらない(食事の場所としない)という選択、オフィス街に近い場所での出店という戦略が取れます。

 ただ、これだけなら模倣困難性もなく、競争優位は保てないですよね?

 何が模倣困難性を生んでいるのか、それを本書では「クリティカル・コア」と呼んでます。

 スターバックスの「クリティカル・コア」は、直営方式です。

 例えば、ドトールなどの競合は、フランチャイズ方式を取りオーナーにリスク分散し店舗拡大してます。

 スターバックスは、直営方式なので全て自社店舗、かつ自社社員です。

 非効率ですよね。

 ただ、これが1等地への集中出店(例えば六本木に何店舗も出店する)を可能にしてます。

 通常だとオーナー同士の競合による「共食い」が発生してしまいます。

 しかし、スターバックスは全て自社店舗なのでその心配もなく、むしろ広告宣伝になりました。

 この一見して非合理なことが持続的な競争優位の源泉となる、つまりストーリー全体で合理的になるのです。

 スターバックスにとっては競争優位の源泉ですが、それはストーリー全体の中で成立するものであって、他社にとっては非合理的なものなので、模倣困難となります。

 面白いですよね。

 ぜひ、他の企業の「ストーリー」も読んでみて下さい。

3.持続的優位の源泉

 本書では、持続的優位の源泉を以下のように定義してます。

持続的優位の源泉

  • レベル0 外部環境の追い風
  • レベル1 業界の競争構造
  • レベル2 ポジショニング・組織能力
  • レベル3 戦略ストーリー
  • レベル4 クリティカル・コア

 1つずつ説明していきます。

 まずレベル0の外部環境の追い風とは、いわゆる「景気が良くて儲かっている」状況です。

 次にレベル1の業界の競争構造とは、先駆けて魅力的な業界に参入し、先行者利益を得られている状況です。

 レベル2のポジショニングや組織能力は、戦略的に儲かるポジションを取り、組織が作られている状況です。

 このポジショニングや組織能力については、1章まるまる使って本書では書いてありますが、省略します。

 そしてレベル3の戦略ストーリーは、ストーリーとして戦略が存在している状況です。

 最後のクリティカル・コアは、スターバックスの例で説明した通りです。

 現在の日本では、大半の会社がレベル0や1の状況にはありません。

 レベル2のポジションニングや組織能力も、そこだけで模倣困難性を確立するのは困難です。

 だからこそ、レベル3やレベル4を競争優位の源泉として持つべきなのです。

 

 私はよくブログでも「ストーリー性」という言葉を使います。

 まず差別化を図るためにはオリジナリティのあるストーリーを作る必要があります。

 そして、一見非合理的なことも、ストーリーを強くするためにやる必要があるのです。

 最初に、「金融機関」の例を出しました。

 地域活性、融資などの話ですね。

 ストーリーを練り上げ、一見非合理だと思われるクリティカル・コアの創造に、いま力を入れていくべきですね。

 模倣だけをしてレベル2でとどまっていると、総力戦になり、固定費削減にしか目がいかなくなってしまいます。

 そして、最後にこの本では戦略ストーリーの「骨法10か条」を紹介してます。

 例えば、「エンディングから考える」といったものです。

 私が最も気に入っているのは、骨法その10「思わず人に話したくなる話をする」です。

 まずは、ストーリー作りはこれでいいのかな、と思います。

 こんな面白い仕事がやってみたいんだ、こういうことが面白そうだ、これをやるとこうなる、みたいに、仕事に対して明るく将来のストーリーを語れることが一番だと思います。

4.まとめ

ストーリーを練り上げ、クリティカル・コアで模倣困難なものにする。

 こんな感じの結論です。あくまで、私が今回中心に要約した部分の結論です。

 この本はものすごく分厚いです。

 今回紹介するにあたり、再度読んだのですが、6時間くらいかかりました。

 ぜひ全て読み、より深くこの本を理解いただきたいです。

 最後にこの本で、ストーリー作りで最も大切なこと、としてあげられていることを書きます。

 それが、自分以外の誰かのためになる、ということです。他者貢献ですね。

 「嫌われる勇気」でも出てきた言葉です。これにつきると私も思います。

 余談ですが、私は独立をする前にこの本を読んでます。

 ですので、当然ストーリーとしての競争戦略を考えてから独立してます。

 クリティカル・コアも考えてます。それが、ブログやYouTubeです。

 一見非合理ですよね。

 ブログで1記事10時間かけたり、動画も1本5時間以上かかります。

 「何がしたいんだ」と思う人もいると思います。

 そう思う人が多ければ多いほど、クリティカル・コアとして機能している証拠です。

 皆様もぜひ、自分の勤める会社や、経営する会社の「ストーリー」を考えてみて下さい。

 前向きに、明るく、楽しく、他者貢献を意識してです。

他の本紹介にご興味のある方は「まとめ記事」を参考にしてください

コメントを残す

メールアドレスが公開されることはありません。

CAPTCHA