中小企業診断士一次試験 経済学・経済政策について
今回は、中小企業診断士試験の一次試験7科目のうちの1つ、「経済学・経済政策」について、解説していきます。
この科目は、試験に合格するという目的であれば、最近の傾向からそれほど難しくないのかもしれません。
ただし、問われる論点の幅は非常に広く、難しくしようと思えばいくらでも難しくすることができます。
『経済学』という学問の幅は本当に広いです。
突っ込みすぎないことは重要ですが、かといって浅い知識で臨むのは非常に危険です。
しっかり頻出論点を確認し基本的なことは確実に理解しておきましょう。
中小企業診断士試験にご興味のある方は「まとめ記事」を参考にしてください
1.科目の概要について
経済学・経済政策は、中小企業診断士試験の一番最初に実施されます。
初めてこの試験に臨む人は、かなり緊張していると思います。
私もそうでした。
そして、最初の統計問題2問をケアレスミスで落としました(笑)。
そういった面での特殊性はありますね。リラックスして臨みましょう。
60分の試験であり、基本的には1問4点の25問で構成されてます。
1問あたりの配点が大きいので、ケアレスミスだけは気を付けましょう。
次の合格率推移を見ていただいた上で、難易度・勉強時間について述べていきます。
10年の合格率推移については、なんと5年連続で合格率20%超の易しい・得点源となっている科目です。
ただ、平成25年度は脅威の合格率2.1%を叩き出してます。
この2.1%というのは、全科目で10年で(14年さかのぼっても)最低の合格率です。
『経済学』という学問は非常に広いので、難化させようと思えばいくらでも難化させることができます。
では、合格率の低い平成25年度並みの理解が必要か、というとそうではないと思います。
直近5年間で頻出問題を確認し、過去問で平均70~80点取れるようにしておく、という基本戦略で間違いないと思います。
ここまでできていれば、例え難化したとしても足切りになる可能性は極めて低いと思います。
何度も言いますが、7科目合計で420点取り、40点未満の科目を取らなければよいのです。
この科目は、高得点を狙って取りに行く科目ではなく、無難に乗り越えて、最悪思い切り難化したとしても足切りにならないように注意しておくべき科目、と言えます。
それを踏まえた上で、どれくらいの勉強時間を確保すべきかという点ですが、これは個人差があると思います。
数学的な要素も強く、かつ経済学という学問に触れたことがない人も多くいるため、平均的には「全体の勉強時間を10としたら、経済学には1.5が必要」といえます。
一方で、数学がそれほど苦ではなく、経済学も学んだことがあれば、そこまでの時間は必要ないと思います。
参考ですが、センター試験レベルの数学(しかもⅠ・Aのみ)と政治・経済を学んだ人、経済学部に進学し普通に勉強した人であれば、すぐに理解できると思います。
初学の方は、最初は難しいと思いますが、数学といってもせいぜい一次関数レベルの問題ですし、経済学といっても基礎の基礎ですので、すぐに慣れると思います。
二次試験との相関性はほぼないので、あまり突っ込まず、過去問5年分を何周かする程度と割り切って勉強しましょう。
2.マクロ経済学
この科目は、「マクロ経済学」と「ミクロ経済学」に分けられます。
「経済学」と「経済政策」ではありません。
「マクロ経済学」「ミクロ経済学」の中で、例えば政府が取るべき「政策」などを学びます。
マクロ経済学は「GDP」など国家レベルでの経済学であり、ミクロ経済学は個社レベルでの経済学で例えば利潤最大化などを学びます。
では、具体的にマクロ経済学で学ぶことを見てみましょう。
簡単に解説します。
統計問題は、毎年冒頭に出てきます。
折れ線グラフなどで、この線はどの国か?みたいな問題です。
正直、何となくで解ける問題です。私は緊張からケアレスミスで2問落としましたが…。
GDPは、分配面からみたGDP、支出面からみたGDPなどありますが、まずは知識としての暗記です。
非常に重要なので、GDPに関してはしっかり抑えておきましょう。
物価指数というのは、インフレ・デフレ、ラスパイレス式・パーシェ式などを学びます。若干ややこしい部分です。
ISーLM、ADーASについては、とにかく「グラフをたくさん書いて」頭に叩きこんでいきましょう。
ここが非常に重要ですが、決して難しくありません。
アダム・スミスの「神の見えざる手」、ケインズの理論などの超基本的な経済学と共にここを学んでいきます。
まずは苦手意識を取り払うことです。非常に面白い分野です。
貿易関係については、為替レート、ようするに円高になるとどうなるか、円安になるとどうなるか、のようなことです。
それほど難しくありません。
どちらかというと、ミクロ経済学の貿易関係の出題の方が難しいので、次でみていきましょう。
3.ミクロ経済学
次は「ミクロ経済学」についてです。
全て頻出です。
ただ、グラフを書いて覚えるという問題が多いので、とにかく書いて覚えましょう。
費用関数・市場均衡などは基本的には同じようなグラフを書きます。
また、余剰分析、貿易についても、やや複雑にはなりますが、これもグラフで覚えます。
ゲーム理論も、基礎中の基礎のみしか出ません。
ようするに、初めて学ぶ方にとっては「言葉・グラフ」など複雑に見えますが、それほど難しくありません。
グラフを書いて覚える、これに尽きると思います。
4.効率的な勉強方法
マクロ経済学、ミクロ経済学を見てきました。
効率的な勉強方法の紹介をします。
私は、この科目については最も講義形式がよかったです。
私は「スタディング」を利用したのですが、「グラフを見ながら」「講義を聴く」という勉強方法が最もしっくりきました。
講義を一通り聴いたら、あとはひたすら過去問です。
過去問は5年分で十分だと思います。
頻出部分をしっかり抑え、過去問で平均80点取れるようになれば十分です。
二次試験との相関性もほぼないので、ゴール地点を割り切って勉強するのが最も効率的だと思います。
5.まとめ
「マクロ経済学」「ミクロ経済学」の頻出部分をしっかり覚え、過去問5年分・70~80点程度をゴールとし、あまり追いかけすぎないようにしましょう。
以上です。
私は、経済学という学問自体は非常に好きなので、勉強は苦にならなかったのですが、この科目は正直「実務」においてもあまり生かす場がないと思います。
本当に学問として、みたいな科目です。
まさに「割り切り」が必要な科目ですね。