本紹介⑫反応しない練習 ブッダに教わるマインドセット
今回の本紹介は、『反応しない練習』です。
この本の著者は草薙龍瞬さんという現役の僧侶の方で、2015年に発売されました。
非常に高い評価を得ている本で、色々な悩みを抱える現代人に多く読まれているのでしょう。
仏教の考え方、つまりブッダの教えにより、悩み解決へのアプローチをしております。
その内容は、非常に分かりやすく、かつ合理的であり、多くの気付きを得られる良書となっております。
悩みが多い方、強いメンタルになるためのマインドセット(思考パターン)を得たいという方は、ぜひ読みましょう。
他の本紹介に興味のある方は「まとめ記事」を参考にしてください
目次
1.そもそも「悩み」とは何か
まず、そもそも「悩み」とは何かということからです。
結論から言うと、悩み=心の反応です。
イライラ・不安・後悔などの悩みの始まりには、まず心の反応があります。
この反応こそが、悩みを作り出している「たった一つのこと」なので、解決策は「ムダな反応をしない」ことであります。
この本は全部で6章構成になっており、簡単にまとめると以下のようになっております。
本書の構成
- 第1章 反応する前に「まず、理解する」
- 第2章 余計なことを判断しない。どんなときも、自分を否定しない
- 第3章 不満やストレスといった「マイナスの感情」で苦しまない
- 第4章 他人の視線を気にせずに、自分らしく生きる
- 第5章 勝ち負けや優劣にこだわってしまう性格を、もうやめる
- 最終章 心から納得のいく人生を、ここから目指す
反応しない練習を教えてくれるのはブッダであり、その教えは①心の反応を見ること、②合理的に考えること、の2つです。
第1章で①について、第2~5章で②についてを詳細に説明するという構成になっております。
ここからいくつか抜粋をし、説明していきたいと思います。
2.反応は「求める心」から
まずは、そもそも反応とは何か、ということを考えます。
その答えは、「求める心=欲」であります。
本書では7つの欲求という形で説明されております。
7つの欲求
- 生存欲
- 睡眠欲
- 食欲
- 性欲
- 怠惰欲
- 感楽欲
- 承認欲
これらの欲が満たされないことで、不安・焦り・イライラなどの反応が出てしまいます。
『嫌われる勇気』でも出てきましたね。
全ての悩みは人間関係であり、承認欲求を捨てましょうということでした。
本書では、承認欲求を捨てようとは書いてませんが、あるものはあると理解しましょう、と書いてあります。
例えば、イライラしているという反応をしていることを客観的に見て、そこに承認欲求があるんだ、と理解をしましょうということです。
この心の反応の根本理由が分かると、そのうち「あの人に認められることがそんなに大事か?」と客観的に自分を見ることができ、結果的に反応しない(承認欲求を捨てる)ことができるようになります。
例えば、仕事をしていて「目標に届かない」焦りや不安があるとします。
この焦りや不安という心の反応に流されるがままに行動をすると、必ず無理が生じます。
例えば、何か不正をしてしまうなどですね。
まずすべきことは、「この焦りや不安はどこから来ているのだろう」と考えることです。
そしてそれは、「目標を達成することで、会社や上司に認められたい」という承認欲求であることが大半です。
どうでしょう?
自分は他人から承認されたいという目的のために、今こんなに焦り不安になり仕事をしているんだ、と客観的に見ることで何か変わる気がしませんか?
まずは、理解をすることが大事です。
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3.余計なことに苦しまない
次に、合理的に考え、余計なことで苦しまないことです。
自分はダメなやつだと「自己否定」をすること、怒り・不安・焦りなどマイナス感情を持つこと、他人と比較し他人の視線を気にすること、これらは全て余計なことです。
これらもまた、アドラー心理学に通じるものがありますね。
「課題の分離」です。
他人がどう反応をするかというのは、他人の課題であり自分の課題ではない。
他人の課題には踏み込まない、というものです。
また私が印象的であったのは、「過去を引きずる=記憶に反応している」という考え方でした。
これも、過去のトラウマを否定するアドラー心理学に通じるものがあります。
過去のトラウマに原因があるとする原因論を否定し、今の目的をかなえるために過去を持ち出す目的論です。
ようするに、過去なんてどうでもいいということです。
過去にどのような意味を与えるかは自分次第であるとも言えますね。
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ざっくりとまとめましたが、世の中の大半のことは余計なことです。
そのようなマインドセットを持つことで、大半の悩みからは解放されると思いますよ。
4.承認欲求は否定しない
最後に、アドラー心理学では承認欲求を否定していましたが、本書は承認欲求自体を否定はしていません。
ここで、「快」と「不快」という考え方が出てきます。
快と不快
- 快:喜びや楽しさを感じている心の状態
- 不快:怒りや恐れ、満たされなさや不安などを感じている心の状態
自分には承認欲求があると素直に受け止め、それがチャレンジすることに繋がり、「快」があるなら大いにやってみよう、ということです。
簡単に言うと、承認欲求が前向きなモチベーションになっているなら、それでよいということです。
ただ、欲が膨らみ、焦りや不安など「不快」を感じたら仕切り直すようにしましょうと言っております。
つまり、承認欲求を動機(モチベーション)として利用するのはいいが、目的にしてはいけない、ということです。
これは、私もすごく考える機会があります。
自身のYouTubeについてです。
当初のモチベーション通りに、「楽しいからやる」という姿勢を貫く。
「登録者」を目的にしてはいけない。自身の発信するコンテンツに対する結果であり、目的ではない。
不安や焦りを感じてはいけない。しっかりニーズを判断し、発信する。
などをYouTubeに対する取り組み姿勢にしております。
おそらく本書を読んだ影響が出ていると思われますね。
常に、自身の発信する内容・姿勢については客観視するように気を付けてます。
5.まとめ
「悩み=心の反応」である。
ムダな反応をしないために、まず反応というものを理解すること、そして合理的に考えることが大事であるという内容でした。
『嫌われる勇気』もそうですが、このような本を読むと、改めて生きていく上で重要なマインドセットを学べます。
それでも、しばらく普通に過ごしていると、色々な悩みが発生してしまいます。
これは仕方ないと思います。
悩みというのは一種の妄想であり、この妄想力というものが人類をここまで増加させたものなのです。
これは、「サピエンス全史」という本で『認知革命』という形で紹介されています。
この本も超良書なのでいつか紹介したいですね。
大事なのは、悩んだ時に解決策として読むべき本があるということを知っておくことです。
私にとっては、「嫌われる勇気」であり、本書もまたそうです。
悩みが多いという方はぜひ本書を読んでみましょう。